本連載では、マイクロソフトの「Office 365」の入門講座として、導入と活用に必要な基礎知識を解説していく。今回は、「そもそもOffice 365とはどのようなサービスか」という点を整理する。

Office 365とは何か?

 Office 365と聞くと、WordやExcel、OutlookなどのOfficeアプリケーションや、Officeのパッケージ製品を思い浮かべる方もいるだろう。事実、著者の周囲では、まだOfficeアプリケーションパッケージの名称の1つとイメージする人もいる。

 Office 365は、買い切りの価格ではなく利用料金が設定されたサービスである。もちろんOfficeアプリケーションを使用することもできるが、それだけにとどまらず、電子メールサービスやインスタントメッセージ(IM)、ファイル共有、オンライン会議などの機能を、クラウド化して「サービス」として提供している“クラウド版のグループウエアサービス”だ。

 基本機能には、次の5つがある(図1)。

図1●Office 365は、機能をクラウド化したグループウエアサービス
図1●Office 365は、機能をクラウド化したグループウエアサービス
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・Exchange Online
 電子メールサービスやスケジュール管理や施設予約、アドレス帳などの機能がクラウドサービスとして提供される。標準で1ユーザーにつき、50GBのメールボックスが用意されている。

・SharePoint Online
 ファイルを共有したり、社内でWebサイトを作成したりできるなど、情報を共有するために便利な機能がクラウドサービスとして提供される。

・Skype for Business Online(Lync Onlineから変更)
 ユーザー同士がインスタントメッセージをやり取りしたり、オンライン会議、在席確認などの機能を利用したりできるクラウドサービス。2015年4月にLync Onlineから変更された。

・Yammer
 社内版のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)として利用できるクラウドサービス。

・Office(Office 365 ProPlus、Office 365 Business)
 クラウドサービスとして提供されているOffice Onlineや、デスクトップ版のOfficeアプリケーションを使用できるサービス。Office 365にいくつかあるプランによって、使えるOfficeのエディションは異なり、Office 365 ProPlusまたはOffice 365 Businessのいずれかとなる。Officeアプリケーションは買い切りではなく、ライセンスを月単位または年単位で、使用するユーザー数に応じて契約する「サブスクリプション」方式で提供される。これはOffice 365が料金制のサービスであるためだ。

 このほか後述する複数プランの大半では、企業版オンラインストレージも利用可能だ。

 基本機能の大半はクラウドサービスとして提供されるため、サーバー運用に頭を悩ませていたユーザー企業のIT担当者(情報システム管理者)も、コスト面のみならず、管理面でも作業量が削減されるはずだ。例えば電子メールサービスなどを利用するには、Microsoft Exchange Serverなどのサーバー環境を自社で構築して管理する必要があったが、Office 365では、マイクロソフトが提供するクラウド版の「Exchange Online」を使用すれば実現でき、新たにサーバー環境を用意する必要がない。

 企業向けには、上記のサービスをパッケージ化したものや単体で使用できるものなど、いくつかのプランが用意されている。ここでは、パッケージプランについて紹介する。

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