Webサイトを中心にしたデジタルのマーケティングというと、リードジェネレーションやリードナーチャリングなどの新規案件創出に目が行きがちです。米国からマーケティングオートメーション(MA)ツールが入ってきたこともあって、米国流の考え方に傾きがちになるせいだと思います。

 しかし、米国から2年遅れで利用が進んでいると言われる欧州、特にドイツや英国などの状況を見ると、ちょっと違った活用が始まっているようです。

欧州のMAは独仏スカンジナビア

 「英国のビジネスは南西部に集中している。このため、手が届く範囲の客を相手にすることが多く、デジタルのキャンペーンはあまり重視されてこなかった。しかし2年半くらい前から、英国を含めて欧州全体でMAに注目が集まってきた」と分析するのは、フォレスターリサーチのVice Presidentで Research DirectorのPeter O'Neill氏です。

 従来、キャンペーンマーケティングやメールマーケティングなどプッシュ型のマーケティングが中心だった欧州で、MAへの関心が高まっています。フォレスターリサーチの独自調査によると、英国だけでなく、ドイツ、フランス、スカンジナビア各国など北部欧州で、MA活用が進んできているといいます。

 メルセデス・ベンツのダイムラー、バイエル、最近何かと話題のフォルクスワーゲンなどの巨大企業だけでなく、500~1000人規模の企業でもMA導入が始まっているそうです。一方、イタリアやスペインなど南部は、盛り上がりがいまひとつとされています。

 欧州各国ではMAツールの説明会が何度も開かれています。いずれの会にもたくさんの人が集まって、注目の度合いの高さがうかがわれる状況だそうです。ツールの中心はEloqua(現、「Oracle B2B Cross-Channel Marketing Platform」)とMarketoです。特にEloquaは認知度が高く、売り込みも熱心だそうです。

 ただ英国ではもともと、見込み客リストをベースとした、プッシュ型のe-メールマーケティングが盛んだったこともあって、「MAツールを使いこなすという意味では成熟していない」(O'Neill氏)。システムのセットアップに追われる状況であったり、ホワイトペーパーのダウンロードに対応して営業対象とする段階にあったりするようです。これは何やら現在の日本の状況を見ているような気がします。

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