前回、マーケティング部門(=以下マーケ部門)から出したアタックリストが、営業部門に受け入れられにくいことと、その溝を埋める策についてまとめました。今回は、もう一つのテーマであるマーケティングオートメーション(=以下MA)ツールの活用方法についてです。

MAツールは「魔法の杖」という勘違い

 MAツールを「魔法の杖」のように思われていることが少なくありません。よく言われることですが、ツールを導入しさえすれば、黙っていてもホットなリストを生み出してくれる、という勘違いです。

 15年くらい前、日本で多くの企業がログ解析を導入し始めたころにも同じようなことがありました。ログ解析さえすれば、会社の売り上げはどんどん伸びる、という勘違いでした。

 MAツールの導入には、少なくとも数百万円、ツールや仕様によっては2000万~3000万円の初期投資が必要です。「これだけ高価なツールを買ったんだから、あとはもうホットリードが出てくるのを待てばよい」とホッとしまうわけです。しかし、導入経験のある方は「実は勝負はここからなんだよね」とつぶやきたくなるでしょう。

 ツールベンダーは、初期設定こそやってくれるものの、当たり前ですが、やってくれるのはそこまで。その後は、別途見積もられる対価に相当する時間しかかけてくれません。多くの企業では、追加投資は難しいこともあって、ベンダーさんが離れた時点から自社で取り組もうとします。

 ところが、自分たちだけでツールを操作しようとしても、活用しようとしても、なかなかうまく行かないことが多い、立ち往生してしまう、という現象は、米国でも多発しているようです。

 こういった困りごとに対処するためのコンサルティングを手掛ける会社が、米国にはいくつもあります。米国カリフォルニア州サンラモンに本拠を持つ、デマンド・ジェン(=DemandGen、以下DG社)社もその一つ。MAツールの最適設定と利用における最適化のためのコンサルティングを専門に取り組む、80人規模の会社です。DG社のDavid Lewis社長は、「マーケティングの自動化に行き詰ってしまう企業が増えている」と話します。

 DG社は、Eloqua(現、Oracle B2B Cross-Channel Marketing Platform)またはMarketoのどちらかと、CRMとしてSalesforceを使っている企業に顧客を限定し、作り出されたリードを育成して、ハイにする(=ホット化する)ための仕組み作りをメーンの仕事としています。ハイの度合いをスコアリングして、営業が受け入れやすい(=SAL、Sales Accepted Lead)リード情報を提供していくわけです。ツールを限定することで、コンサルティングの対象となる企業の規模は自然と大きなところになっているようです。

 2015年に会社設立8年目を迎えましたが、売り上げは平均で年率30%の伸びを示しています。特に2014年は50%を超える驚異的な伸びだったそうです。

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