セゾン情報システムズで、ファイル転送ミドルウエア「HULFT(ハルフト)」を開発・販売するHULFT事業部が2016年11月、ITベンダーやユーザーが共同で組織するCRM協議会の「2016 CRMベストプラクティス賞」を受賞した(関連記事:「CRM協議会が三井住友銀行や津市など14の「ベストプラクティス」を表彰」)。同事業部のマーケティング部部長の堀野史郎氏と同デジタルマーケティング課の高山真彰氏に、CRM協議会が評価した「情報統合による顧客価値共有・モデル」について聞いた。
「情報統合による顧客価値共有・モデル」でのデータマネジメントの前に、マーケティングオートメーション(MA)導入の経緯を教えてください。
高山:2014年10月末までは、営業部門とマーケティング部門にそれぞれSalesforceがあり、Salesforceにアドオンするかたちシナジーマーケティングの「Synergy!LEAD」が載っているという格好でした。
しかしそれぞれのSalesforceは連携していませんでした。Salesfoeceをパイプライン管理のために使っていた営業部門からの、「なんでもかんでもデータを投入してSFAを汚してほしくない」という意向を汲んだからです。
当時はマーケティング部門が作ったデータをエクセルで渡していました。それでは使いづらいということで、MAの導入検討を2014年10月に始めました。
導入するMAにはどのような選定条件があったのでしょう。
高山:このときには複数のMAツールを含めて検討し、米オラクルの「Eloqua(現、Oracle Marketing Cloud)」に決めました。選定ポイントは当時実施していたマーケティング施策をそのまま継続できることでした。具体的にはセミナー集客やメール配信、評価版ダウンロード、お問い合わせフォームなどができるか確認しました。
それ以外の選定基準には、子会社も含めて1契約で複数の組織が対応できることと、英語/中国語での対応ができることがありました。以前は中国語で文字化けが発生し、メールをうまく配信できないという経験があったからです。
海外製品にはない機能も確認しました。その一つがセミナー受講者の集客管理を自動化できないこと。定員に達したり、応募期限を迎えたりしても、自動的に集客を止められず、手動で設定しなくてはなりませんでした。ただしこの機能は、Eloquaで対応できるようになりました。
MAを導入してから実施した「情報統合」はどういうことをしたのでしょう。
高山:2015年4月の導入後1年間は、マーケティング部門でEloquaを単体で使いました。社内の「お客様基盤の統一」という機会に乗って、2016年4月に営業部門そしてサポート部門のSalesforceとデータを連携させました。
そのときに、データ連携ソフトの「DataSpider Servista」(セゾン情報システムの子会社、アプレッソが提供)を使い、基幹システム内にある既存顧客のデータや、Webフォームからお客様個人が投入したデータをつなぐようにしました。