デンマークのSitecoreは、マーケティング機能を備えたWebコンテンツ管理システム「Sitecore Experience Platform」(XP)を提供している。Webコンテンツ管理の基本機能をベースに、顧客情報を管理して分析する機能や、顧客の行動に応じてマーケティング施策をクロスチャネルで実行する機能などを提供する。
Webコンテンツと顧客情報をオムニチャネル配信と組み合わせることによって、顧客一人ひとりに合わせたコンテキストに基づく顧客体験を管理できるとしている。
このアプローチを同社は“コンテキストマーケティング”と呼ぶ。顧客が最初にWebサイトを訪問するところから商品を購入した後の関係性の維持まで、コンテキストに沿った顧客体験を管理できるという。
SitecoreでBusiness Optimization担当Vice Presidentを務めるLars Birkholm Petersen氏に、Sitecoreが考えるコンテキストマーケティングの概要と狙いを聞いた。
記事構成は日川 佳三=ライター)
マーケティング全体から見たコンテキストマーケティングの位置付けは。
企業は、現在よりも顧客中心のビジネスに移行しなければならない。このために、「デジタルマーケティング」「コンテキストマーケティング」「ブランド体験」という、マーケティングで実現すべき三つのステップがある。
コンテキストマーケティングを実現する前のステップが、デジタルマーケティングだ。この段階の狙いは、多くのチャネルからWebサイトにやってくる顧客をひきつけて魅了することである。
この次の段階がコンテキストマーケティングで、その目的は顧客との関係を作ることだ。顧客のデータを収集し、文脈に合った使い方をすることによって顧客との関係を形成する。
コンテキストマーケティングの次のステップがブランド体験だ。顧客にブランドを理解してもらうことによって、効果的にビジネスを進める。
コンテキストマーケティングでは何をするのか。
コンテキストマーケティングで実施すべき取り組みとして、三つの柱がある。
一つめの柱は、目標、戦略、戦術をすり合わせて連携させること。例えばB2Bのビジネスであれば、売り上げを高めて市場シェアを伸ばすことがゴールになる。このゴールを達成するための戦略として、何がビジネスに影響を与えるのかを考え、部署間で協力し合って施策を実行する。例えば、戦略部門がデジタルのツールを使って働きかけるのと同時に、営業担当者はオフラインでネゴシエートする。
二つめの柱は、顧客のデータを収集し、ブランドと顧客の関わりを可視化することだ。B2Bであれば、CRM(顧客関係管理システム)やコールセンターなどをデータの参照元として使う。今、相手にしている顧客は誰なのか、顧客は何に興味を持っているのかなどをデータを基に洗い出す。