「“おけいはんポイント”などの利用履歴を収集したビッグデータを、グループ約20社と共有している」(京阪電気鉄道 経営統括室IT推進部の安橋正子課長)。京阪電気鉄道(京阪電鉄)はグループ会社を通じて、メインとなる鉄道事業の他に不動産事業や流通事業など、多彩なビジネスを展開する。
同社のIT推進部と事業推進担当は、毎月約1000万件収集されるポイントカードや交通系ICカードの利用履歴の分析に取り組んでいる。グループ会社の小売店や飲食店、ショッピングモールなどの経営に生かすためだ。
同社は2013年7月から、定例会「マーケティング推進会議」を開いている。主催は、京阪電鉄のIT推進部と事業推進担当、クレジットカードを発行するグループ会社の京阪カード。開催は2カ月に1回、グループ各社からマーケティング担当が1人ずつ計30人以上が集まり、各社の事例をプレゼンする。情報をグループ各社で共有する、まさに「データはみんなのために」の取り組みだ。
同社が分析しているのは、次の3つのデータ。京阪電鉄が発行しているポイントカード「e-kenetカード」でショッピングなどすると貯められる「おけいはんポイント」、クレジットカード機能を搭載した「e-kenet VISAカード」の利用履歴、関西地区で使われている交通系ICカード「京阪マイレージPiTaPaカード」の利用履歴だ。カードの会員数は合計50万人を越える。これらのデータを分析するために、京阪電鉄は2013年7月に、SAS Institute Japanの提供するBIツール「SAS Enterprise Guide」を導入した。
分析結果を共有するための努力は「マーケティング推進会議」だけではない。京阪電鉄のIT推進部と事業推進担当が、グループ各社を訪問して、具体的な施策について議論する。
「1~2カ月に1回の頻度で議論し、何か具体的な取り組みにつなげるようにしている」(安橋課長)。分析する習慣を定着させることで、将来はグループ各社の担当者が自ら分析して、施策を講じれるようにする計画だ。