データの整理や形式の統一など地道に準備したことで成功を得られたのが、神戸製鋼所だ。ビッグデータを業務に生かす取り組みでは「分析前に勝負は決まる」。データが分析できる状態になっていなければ、業務に貢献できないからだ。

 同社の林高弘IT企画部長は「分析ツールを導入する際の事前準備が、データ分析の成否を分ける」と語る。実際に、200万件以上のデータを入念に調べ上げて整理し直した、IT企画部の取り組みを見ていこう。

 分析ツールを導入した狙いは、アルミ・銅事業部門や機械事業部門など、5~6部門の製造所での資材の購買データを分析して、調達コストを削減すること。2012年10月に、クリックテック・ジャパンのBIツール「QlikView」を導入した。それまでは、「データ自体は大量に収集していたが、分析できる状態になっていなかった」(林IT企画部長)。

 例えば、各事業部門で大型機械を操業するときに必要となる「潤滑油」の購買データ。同じ潤滑油でも異なる製品コードで登録していたり、製品名ではなく「潤滑油」「潤滑油一式」などと登録されていたりした。

 IT企画部ではこれらの購買データを、分析しやすいフォーマットに整理し直した。「データ様式を整理する作業が一番苦労した。しかし、この作業を怠ると分析はできないと思った」(林IT企画部長)。2015年1月時点で、分析に使う購買データは200万件以上ある。

 整理後は、各事業部門の製造所が過去に購入した潤滑油の購買データを、時期別、取引先別などの軸で一覧できるようになった。どの時期にどの取引先から購入すれば、安く調達できるか瞬時の判断が可能だ。「資材によっては、半額で調達できるようになった。まだ全てのデータを整理していないので、継続して取り組んでいく」(林IT企画部長)

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。