「私たちが想定している使用期間は5年。ハードディスクを開発し、耐久性を評価する中で、確実に5年は動作するという設計としている」(大手ハードディスクメーカーのHGSTジャパン)。5年後まではメーカーが厳しく見定めて製品を開発・製造している。経年劣化を想定したテストを実施し、部品を含めて正常に動作することを検証済み。これがハードディスクの寿命は5年と考えるべき根拠だ。

 もちろん5年経過したらすぐに壊れるわけではない。丁寧に扱えば、より長く使える可能性は高い。では、運悪くそれより短い期間で故障してしまった場合は何が問題なのか。メーカーに聞くと、製品の経年劣化ではなく、ユーザーの扱い方や不注意によって障害が発生し、故障する比率がはるかに高いのだという。

少しの衝撃が命取り

 精密機器であるハードディスクの弱点は「衝撃」「熱」「湿気」の3つだ(図1)。これらがディスクやヘッドに悪影響を与え、読み取りエラーや故障を引き起こす。

●ハードディスクの寿命を縮める3大要因
図1 ハードディスクはナノ単位で動く精密な機械。過剰な「衝撃」、動作環境から外れる「熱」「湿気」によって故障が引き起こされることがある
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 実はハードディスクは、想像以上に精密なメカニズムで動作する。ヘッドに電流を流し、ディスクをS極やN極に磁化させることでデータを書き込んでいる(図2上)。より高密度にデータを書き込む際には、ヘッドをディスクに可能な限り近づける必要がある。「最近の製品はヘッドの高さを2nmまで近づけている」(HGST)という。2nmは、人間の髪の太さの5万分の1程度。ヘッドはディスクが起こす気流に乗ることで、微細な高さを維持している。

●わずか2nmの隙間がハードディスクの弱点
図2 ヘッドとディスクの隙間はわずか2nm。衝撃によってヘッドがディスクにぶつかると、磁性層を破壊してしまうことがある
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