かつてのノートパソコンで使われていたニッカド電池などには「メモリー効果」と呼ばれる現象がある。完全放電せずに再充電すると、その充電レベルを記憶してしまう現象のことだ。この状態で使うと、バッテリー容量が残っているにもかかわらず、記憶されたレベルで電圧が下がり、そこから先は使用できなくなってしまう。そのため、最後までバッテリーを使い切ってから充電することが重要とされた。

 このメモリー効果は、リチウムイオン電池ではほとんど起こらない。そのため、どのタイミングで充電しても基本的には大丈夫だ。

 ただ、高熱の環境下などで使っていたりすると、特定セルのみがへたってしまい、「セルバランスが崩れる」場合がある(図1)。

●バッテリーパック内のセル間で容量差ができる
図1 あるバッテリーを構成するセルの容量は工場出荷時はいずれも同じだが、高熱の状態で使っていたりすると「セル間のバランスが崩れる」ことがある。例えばセルAとセルBで構成されたバッテリーがあったとして、満充電時の容量がセルBだけ減ってしまう。この状態だと、たとえセルAに容量が残っていたとしても、セルBが空になった時点でバッテリーとしては0%になってしまう
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 この現象が起こると、特定のセルの容量だけが少なくなってしまう。この場合、たとえほかのセルの容量が残っていても、へたったセルは容量がなくなり、電圧が先に下がってしまう。そのため、へたったセルが空になった時点でバッテリー全体も0%となり、使用できなくなる。