「最近、当社のオフィスを見学したいという声が急増している」――。こう語るのはコニカミノルタの持田啓介経営戦略部長だ。同社は仕事の内容に合わせて社員が自由に座席を選択できる、フリーアドレスの導入を推進。部署によらず自由な席で仕事をできる仕組みを整えただけでなく、ファミリーレストラン風の席や、一人で集中して作業できる席も設置。社員は自らが望むスタイルで仕事を進められる。

 新しいオフィスを設計する上で鍵になったのが、モバイルPCの進化だ。モバイルPCは、ここ2~3年で薄型化、軽量化が進む一方、内蔵バッテリーだけで1日中使えるほど駆動時間が延びた。高速無線LAN機能も標準搭載になっている。「フロア内を自由に動き回れるようにする上で、進化したモバイルPCの存在は大きかった」と持田氏は語る。

モバイル環境改善で実用度が増した

 モバイル環境の改善は、外出先や自宅からでもオフィスと同じように仕事ができる環境を整えるテレワークも変えた。伊藤忠商事は、外出先での業務推進策として、BYOD(私物端末の業務利用)を活用している。営業力の強化を狙った同社は、社員の不満が多かったメールシステムを入れ替えて、セキュリティポリシーを改定。機能が向上したMDM(モバイルデバイス管理)ソフトを導入することで、同社が許容できるスタイルでBYODを運用できるようになった。

 「セキュリティと利便性を確保しながら個人の端末を業務利用できるようにしたため、非常に好評」。伊藤忠商事IT企画部技術統括室長の北野隆氏は社員の反響をそう説明する。従来の仕組みは使い勝手が悪く利用が進まなかったが、システム入れ替えの後は導入から2~3カ月で8割以上の社員が社外から業務リソースにアクセスするようになった。「会社支給の端末よりも、BYOD利用者が圧倒的に多い」(北野氏)。

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