獲得したリードから有望な見込み顧客を育成するリードナーチャリングは、リードジェネレーションとは別の苦労が伴う。その最大のものは「獲得したリードが案件化に至らない」という現実だろう。この現状を変えていくためには何が必要なのか。「BtoBセールス&マーケティングサミット2015」の3本目のセッションは、「リード評価と施策評価―より良いナーチャリング戦術を実現するために」というタイトルで議論を進めた。
【パネリスト】
イノベーション リストファインダーユニット ユニット長
宮村佳祐氏
インテリジェンス ビジネスソリューションズ
事業企画部マーケティンググループ
相原志織氏
サイトコア マーケティンググループ 本部長
片桐佳江氏
WEIC 執行役員 Inside sales Team Director
青木達也氏
【モデレータ】
2BC 代表取締役
尾花淳氏
「一般的に言えば(セミナーや展示会などで獲得した)75%のリードが案件化しない。しかしそうした見込み客のフォローをやめてしまうと、80%が2年以内に似たような製品を他社から購入することになってしまう。いま我々に必要なのは、できるだけ早急に商談につながるリードだ」とイントロスピーチを担当した宮村氏は言う。同氏が所属するイノベーションの場合、展示会で獲得した名刺のうち90%が即時案件化しないという。
宮村氏が提案した「案件化するリードを育成する」ためのポイントを要約すると以下になる。
- リードの評価基準を明確にする
- リード育成施策の三つのステップは「メール配信」「Web分析」「営業へのパス」
- 施策評価は3段階で … リードの即時案件化を達成した獲得施策に対する評価、案件化するまでにナーチャリングした育成施策に対する評価、ナーチャリングの後に案件化した獲得施策に対する評価
イノベーションでは「マーケティング部門が獲得したリードに対し、見込み顧客による検討可能性の有無を営業が評価する。つまり、見込み顧客に費用や製品概要を伝えた上で、明確にNoではない反応が返ってきたら“案件化に至ったリード”として扱う」(宮村氏)という評価基準を設けているという。
もっとも一般の企業では、こうした評価基準を設けていないマーケティング部門がほとんどだろう。青木氏は、「案件化に至らない名刺を渡されても困る、というのが営業の本音。営業担当のリソースは限られているので、時間工数が取られる仕事はやりたくないという気持ちは分かる」と指摘した。この指摘に対し、相原氏は「展示会やセミナーで集めた名刺をそのまま営業に渡すのではなく、ある程度ふるいにかけてから渡したほうがいいのでは」と答えている。