「5日待たせて加入できないのでは、心象を悪くしてしまう」―。明治安田生命保険の大井浩嗣契約部 契約開発グループ 主席スタッフ(2016年3月31日時点)は、こう語る。

 同社は2016年1月、2~5営業日を要していた生命保険の加入可否の通知を最短で申込日の翌朝にできる新システムを導入した。

 明治安田生命が導入したのは、BRMS(ビジネスルール管理システム)ソフトを活用した自動査定システムだ。あらかじめ定義した査定ルールに基づき、保険商品への加入可否などを自動判定する。自動査定を実現している生命保険大手は珍しい。

 同時に、保険申込みの際に必要な申込書と告知書を電子化。手作業で作成・郵送していたのを、営業担当者が携帯するタブレットで作成、データ送信するように変えた。その結果、査定手続きにかかる時間を短縮できた。

保全、支払いの高度化を先行実施

 明治安田生命は、2015年3月期の保険料等収入が3兆4084億円、業界第3 位の生命保険大手だ。全国に73の支社、938の営業部・営業所を展開している(2015年10月1日時点)。生命保険の業務は大きく、引き受け、保全、支払いの三つに分けられる。同社は保全と支払い業務の高度化を先行して進めてきた。

 2012年末には2000年代後半に保険業界を揺るがした保険金不払いの抜本的な解決や多数ある保険商品の支払い業務の効率化を狙い、支払査定支援システムを開発。テキストマイニング技術を採用して診断書の自動判定などを可能にするもので、保険金の請求受付から決裁までの期間を短縮した。

 2013年には営業担当者向けに約3万台の富士通製タブレットを配布。契約内容の見直しや解約といった保全業務を電子化した。

 自動査定システムによって高度化を果たしたのは、残っていた引受業務の部分だ。「事務に関するほとんどの業務について、何らかの電子化を達成できた」と大井氏は説明する。

 今回の施策は、明治安田生命が、2014年4月からの3カ年計画で掲げる「アンダーライティング改革」の一環だ。アンダーライティングとは、契約申込の引受可否や条件決定のための手順のこと。新契約手続きに係る事務プロセスの簡便化と強化を目指した。

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