汎用テープやIT機器向け高機能材料、海水淡水化プラントなどの開発・製造を手掛ける日東電工は、グループ全体の資金を可視化するために、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の財務管理システムを導入した。手始めにメーンバンクの国内外支店に預けた預金の日々の動きを可視化して、口座単位やエリア・通貨別に把握できるようにした(図1)。

図1 日東電工でのグローバル資金可視化システムの狙い
エリア単位で資金集約を進めて、資金再配分を可能に
汎用テープやIT機器向け高機能 材料などの日東電工の主な製品
汎用テープやIT機器向け高機能 材料などの日東電工の主な製品
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 財務の機動力が高まり、グループ会社間の資金融通が容易になった。将来のM&A(合併・買収)といった大型投資が必要になれば即座に自己資金を集約できる。

 日東電工のグループ会社は国内19 社に対して、海外に81社。「海外売り上げ比率が7割を超え、グループ全体の資金の半分以上が海外にある」(塩路隆太・経営戦略統括部門 経理財務統括部 財務部長兼資金管理グループ長)という。扱う通貨は14種類に上る。

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 2015 年9 月末の連結現預金は約2300億円。このうち約半分を、グループ28社を通じてメーンバンクである三菱東京UFJ銀行の国内外支店にある約100口座に預けている。

 ところが、国内にある本社で海外資金の状況は即座に把握できなかった。現地法人からは、月次で表計算ソフトのExcelシートで現地通貨ベースの決算情報が送られる。現地法人の月末の預金残高は分かっても、どの銀行口座にどの国の通貨で持っているのか、簡単には分からない状況だった。

 巨額投資やM&Aといった案件によってグループ全体で大きな資金需要が発生した場合、機動的な対応が難しい。資金量は潤沢でも、すぐには手を付けられず、別途借り入れなどで資金調達をしなければならない恐れがあった。

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