公式Webサイトへアクセスが集中したときに安定運用するのが困難になった東京急行電鉄。解決策として、コンテンツ配信技術「CDN」を導入。東日本大震災で平時40倍の負荷にも耐えた。

神奈川県東部と東京南東部を走る東急線
神奈川県東部と東京南東部を走る東急線

 「大変なことになった。とにかく運行情報だけは提供し続けなければ」。2011年3月11日の東日本大震災。東京急行電鉄(東急電鉄)の公式Webサイト運用スタッフは青ざめた。

 当日は東京や神奈川の鉄道が軒並み運行を停止した。東急電鉄も地震発生から8時間あまり、鉄道の運行を再開できなかった。

 地震発生直後から、同社の公式Webサイトには鉄道の運行状況の情報を求めてアクセスが殺到。平常時の40倍ものアクセスが押し寄せた。

 想定を超える事態に直面したものの、スタッフには公式Webサイトを無事に運用できるとの手応えもあった。前年に大規模な台風被害に遭ったときも、同サイトを問題なく動かし続けることができたからだ。

 事実、サイトは落ちなかった。地震の発生から鉄道運行の停止、緊急点検、そして午後11時頃の運行の再開。この間、同社公式Webサイトは鉄道運行状況の情報を更新し続けた。

 同社のサイトがダウンせずに済んだのは、「CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)」と呼ぶ技術を導入していたからだ。企業が自社で大規模なWebサーバーを運用する代わりに、CDN企業が運営する大量のサーバーにコンテンツを分散配置し、企業に代わってコンテンツをWeb利用者に配信する。

 東急電鉄はCDNを活用して、公式Webサイトを安定運用する体制を確立した。今も同サイトの情報を通じて顧客満足度向上に取り組み続ける。

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