名古屋銀行は個人向けのインターネット銀行サービスを刷新。勘定系システムをネット銀システムに取り込む形で、ネットとリアルを融合した。印鑑レスでネット口座を開設でき、既存支店口座でもネットを利用できる。開始2カ月で年間口座開設数の4割近い約2万件の申し込みを獲得した。

 名古屋銀行は個人向けインターネットバンキングサービスを刷新し、2015年1月に新たなサービス「bankstage」を開始した。中村昌弘・名古屋銀行頭取は新サービスについて「もうひとつの名古屋銀行ブランドを構築する」と発表。預金量が約3兆円で111支店を展開する地域金融機関としての強みを生かすため、既存支店と新たに設立したネット支店の口座をまとめて管理できるインフラの構築に至った。

 2015年1月のサービス開始以来、2カ月で申し込み数は年間の口座開設数の4割に当たる約2万件に迫るという。

ネットバンキングの壁を撤廃

 少子高齢化の影響で、地域金融機関は60歳以上の高齢者の預金が多い。給与口座振り込みや住宅ローンなどのニーズがある現役世代の口座開設が減り、来店者数は減少の一途だ。

 しかも名古屋などに住む親世代から関東や関西地方に住む子への財産相続が進むと、他の銀行に資産が流れかねない。名古屋銀行にとっては遠方に住む子ども世代も利用しやすいネットバンキングサービスが必要だ。

 これまでもネットバンキングサービスは提供してきたが、既存支店に口座を開設しなければ利用できなかった。従来のネットバンキングサービスの多くは、既存の支店口座にひも付いたダイレクトサービスや、優遇金利などが適用されるネット支店サービスに分かれている。口座ごとにサービスが異なり、利用者には分かりづらかった。

 bankstageは、こうした壁を取り払った(図1)。新規の利用者は、本人確認書類を送るだけで印鑑レスでネット支店口座を開設し、優遇金利などを受けられる。既存の支店口座の利用者も、ネット支店に口座を開設しなくてもネット支店と同じサービスが使える。

図1●名古屋銀行の「bankstage」の仕組み
図1●名古屋銀行の「bankstage」の仕組み
口座ごとではなく個人でひも付け
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 名古屋銀行の営業圏外に住む若年層の顧客が、印鑑レスでネット支店に新たに普通預金の口座を開設した場合も、既存の支店に口座を開設した場合と同じサービスが受けられる。

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