クラウドやモバイル、ビッグデータ分析やモダナイゼーションなど、ユーザー企業は日々にIT活用に取り組んでいる。コスト削減だけでなく、顧客満足度の向上や売り上げ貢献など、ITを駆使する最前線はヒントが満載だ。リアルなケーススタディにノウハウを学ぼう。
ケーススタディに学ぶ、IT活用最前線
目次
-
ウェザーニューズ、人とセンサーで気象情報を収集 観測密度高め予報精度を向上
「消費者が本当に知りたがっているのは頭上の雲行きがどう変わるのかだ。こうしたピンポイントで正確な気象予測は、従来の天気予報の仕組みでは対応できなかった」―。
-
「ありがとう」から始めた体制作り マネジメント重視のセキュリティ
「攻撃リストに当社が載っています」― 。Q&Aサイト提供大手のオウケイウェイヴのエンジニアが脅威情報をチェックしていたところ、ある国のハッカー集団の攻撃リストに自社サイトが含まれているのを見つけた。世界的に企業・団体へのサイバー攻撃が激しくなり始めた2012年のことだ。前年には、三菱重工業への標的…
-
部品100万点の値付けを管理 保守サービス効率化へ基盤整備
ヤンマーは2015年12月に保守部品の価格管理システムを刷新し、市況の変化や販売実績に応じて戦略的な価格を設定できるグローバル価格システムを稼働させた。日本と海外、互いの市場で整合性のある価格設定を実行し、顧客企業の信頼を高められるようにするのが狙いだ。
-
明治安田生命保険、保険加入の査定結果を翌朝通知 BRMSで自動化し5日から短縮
「5日待たせて加入できないのでは、心象を悪くしてしまう」―。明治安田生命保険の大井浩嗣契約部 契約開発グループ 主席スタッフ(2016年3月31日時点)は、こう語る。
-
ADEKAが国内外27拠点の情報を見える化 1品ごとの売り上げ/損益を分析
化学品と食品を製造・開発するADEKAは、2015年4月に中期経営計画「STEP 3000-Ⅱ」を策定し、海外事業の強化を成長戦略の一つとして打ち出した。2014年度は43.3%だった海外売上高比率を、2017年度には50%まで拡大し、連結売上高3000億円を目指す。
-
コニカミノルタがマスターデータ管理基盤を構築、データ経営やM&Aの効果を加速
コニカミノルタは2015年10月、アジア太平洋地域における複合機などの情報機器事業で、業務に必要な製品や部品などの品目マスターや得意先マスターを管理するためのマスターデータ管理(MDM)基盤を本稼働させた。現在は中国やシンガポールなど6カ国が対象だが、今年夏までにはタイが加わり7カ国になる予定だ。
-
富士フイルムホールディングスが3万5000人にGoogle Apps導入、全世界で“バーチャル”会議
「それでは10分後に会議を始めます。『Google スプレッドシート(以下スプレッドシート)』に今日までの実績を入力したので確認しておいてください」。
-
エプソン販売がプリンターの月額課金を実現、8カ月で料金管理システム構築
「プリンターの選び方を新しくしませんか」――。 女優の米倉涼子さんを起用したテレビCMで知られるエプソン販売の「エプソンのスマートチャージ」。初期コストゼロでビジネス用のインクジェットプリンターを設置できる今までにないサービスだ。。
-
サイゼリヤがチェーン1000店以上の情報を集約、「繁盛店」の条件を解析で導く
イタリア料理店をチェーン展開するサイゼリヤは2015年10月、統合店舗情報データベースを本格稼働させた(図1)。チェーン店の運営にあたっては、出店から退店、移転に至る「ライフサイクル」に従って店舗それぞれが抱えるさまざまな情報を本部で管理する必要がある。以前のサイゼリヤは、各店舗で発生する情報は部…
-
LIXILグループが米GE「Predix」を国内初導入、住宅工事の職人配置を自動化
LIXILグループは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が開発した産業用ソフトウエアプラットフォーム「Predix」を国内で初めて導入する。Predixは各種のセンサーが集めた情報を分析し、産業用システムで活用するための各種機能を備える米GEの戦略商品。クラウドサービスとして提供される。
-
アジャイルを超高速開発で加速 社外技術者を引き寄せる
「利益を出したいと知恵を絞る事業部と話が合う情報システム部門でありたい。そのために変革を続ける」。全国343店舗を持つ不動産売買仲介のハウスドゥで、情報システム部長を務める岩田潤氏はこう意気込む。
-
手作りIoTで3割生産性アップ 海外展開にクラウドが威力
オムロンは、製造現場の革新に取り組んでいる最中だ。製造ラインの稼働状況を見える化し、生産性や品質を向上させる狙いである。
-
[戦略]SaaSで資金の流れを可視化 国内外の銀行口座情報を集約
日東電工
汎用テープやIT機器向け高機能材料、海水淡水化プラントなどの開発・製造を手掛ける日東電工は、グループ全体の資金を可視化するために、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の財務管理システムを導入した。手始めにメーンバンクの国内外支店に預けた預金の日々の動きを可視化して、口座単位やエリア・通貨別…
-
顧客情報を外出先から参照可能に 失敗に学び、タブレット運用を工夫
中京銀行は2015年12月7日、200人以上の営業担当者に配布しているAndroidタブレット端末を、銀行オフィス内のネットワークと接続した。以前から行内で運用していた営業支援システムに、外出先からアクセスできるようにした(図1)。
-
8年がかりで開発速度を向上 要件定義の期間を4割短縮
「要件定義の期間が4 割程度減った」。企業情報大手、東京商工リサーチの秋山光男システム本部本部長は、システム部員のスキル向上策の成果をこう話す。
-
“25年もの”の基幹システムを刷新 保守コストからパッケージ選ばず
メディセオ
「25年間、追加開発を繰り返してきた結果、ひどいスパゲティ状態。保守性は下がり、システムの詳細を把握できる担当者も少なくなっていた」――。医薬品卸最大手であるメディセオの尾崎潔 基幹システム開発部部長は振り返る。2015年7月、同社は基幹システムの全面刷新を終え、メインフレームの利用を停止した。
-
クラウドファーストが全社方針 4種のサービスを適材適所に
JFEスチール
「今後は“クラウドファースト”を方針とする」。こう宣言するのは、JFEスチール IT改革推進部長の新田哲理事。システムの移行や新規開発の際には、クラウドを稼働環境の第一の選択肢とする。既存環境に残すのは、何らかの理由でクラウドでは動かせない場合だけだ。
-
R/3を第三者保守に変更 年額5000万円を半減
熊谷組
「年間5000万円を支払い続けてきたERP(統合基幹業務システム)の保守費用を半減できた」。熊谷組 経営企画本部 経営企画部 IT企画グループの鴫原功部長はこう語る。同社は2015年1月、日本リミニストリートが提供するERPの保守サポートに切り替えた。
-
[体制]手間増やさずマイナンバー対応 収集・管理を外部に委託
三井化学
高機能プラスチックや電子情報材料などの開発・製造を手掛ける三井化学は、手間を増やさずマイナンバーに対応する新しい事務処理フローを構築中だ。マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)では、企業は従業員のマイナンバーを収集して源泉徴収票や支払い調書などの帳票に記載して行政機関に提出する必要がある。
-
[戦略]商品のレコメンド機能を刷新 買い忘れ指摘し売り上げ1割増
大地を守る会
有機野菜を中心とした宅配サービスを手掛ける大地を守る会が、会員顧客一人ひとりに合わせてお薦め商品を選ぶレコメンドシステムを刷新し、売り上げを伸ばすことに成功している。
-
洗濯・乾燥機1万2000台をIoT化 稼働実績を分析し営業に生かす
東京都の上野駅の程近い住宅密集地。マンションの1階にあるコインランドリー「クリーンベスト三筋一丁目店」の店内は、壁際は色鮮やかな業務用のガス燃焼式大型乾燥機や、靴専用の洗濯機など15台が並ぶ。
-
オープンデータ化に性能の壁 フラッシュ採用で乗り越える
「科学技術創造立国」を推進するために1996年に設立された科学技術振興機構(JST)。科学技術の研究開発動向や社会での必要性を調査して、国の戦略立案に提言する組織だ。
-
営業支援システムにSaaS導入 Excelの手入力作業を排除
「Excelファイルのデータ加工に担当者が週に1日拘束され、最新情報の更新まで1週間も待たされるなど、業務に支障が出ていた。こうした状況を打開したかった」──。日本生命保険不動産部 ビル業務推進課長の斎尾正志氏は、新営業支援システム導入の意図をこう説明する。
-
銀行業務をクラウドへ “金融基準”セキュリティ実装
ソニー銀行
「クラウドは、雲の上にある特別なものではない。サーバーのホスティングサービスの一種に過ぎない」。ソニー銀行の福嶋達也システム企画部長は、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)についてこう話す。信頼性が求められる銀行のシステムにとってパブリッククラウドの活用は思い切った挑戦のようにも見えるが、同社は必…
-
[25]大林組--iPad5700台で人手不足克服
大林組
東日本大震災の復興需要や景気回復、2020年東京オリンピック・パラリンピックといった要素が重なり合って、国内の工事現場は人手不足に陥っている。その追い風と向かい風の両方を受けている一社が大林組だ。
-
[24]群馬県健康福祉部医務課--スマホで「たらい回し」減らす
群馬県健康福祉部医務課
交通事故に巻き込まれたり急病で倒れたりした際、誰もが頼りにするのが「119番」だ。電話1本で救急車を呼び出せる便利な救急搬送システムだが、ここ数年出動要請が増加。病院へ搬送し終える時間が年々長くなり、消防や医療の現場が悲鳴を上げている。
-
[23]北洋銀行--“臨時収入”をCRMで捕捉
北洋銀行
「顧客が来店するのを待ってはいられない。渉外活動を強化し、“攻め”のセールスを展開する」──。北洋銀行リテール戦略部リテール企画課の佐々木勉管理役はこう語る。
-
[22]モスフードサービス--グループの会計システムを共通化
IFRS(国際財務報告基準)対応が難しく、手作業の手間も負担だった。部門別に予算管理と会計業務ができるERP(統合基幹業務システム)パッケージ中の会計システムを採用。国内連結子会社の勘定科目の統一や業務の標準化を達成した。
-
[21]MS&ADホールディングス--2社併存のままシステム統合
会社合併を伴わないシステム統合だったため、要件がまとまりにくいなどの問題が生じた。2社で解釈が違っていた用語を統一し、異なる開発ルールを共通化。新規機能の開発などの共有化で、年間約100億円のコスト削減を実現した。
-
[20]日本政策金融公庫--4社13台のメインフレームを全廃
13台のメインフレームを抱え、ITコストが高止まりしていた。メインフレームを全廃、乱立していたサーバー類は770台から300台に集約。年間のシステム維持費を25億円削減した。
-
[19]良品計画--AWSとAzureを使い分け
日用品の製造小売り(SPA)事業「無印良品」を展開する良品計画は、「MUJI DIGITAL Marketing 3.0(以下MUJI 3.0)」と呼ぶビッグデータ活用戦略を推進。国内約400店の実店舗や通販サイト「無印良品ネットストア」などから得られるデータを集約し、ここに表れる顧客動向を販促に…
-
[18]東京証券取引所--自動発注の“暴走”を止める
「初代arrowheadの開発は、処理速度を高めるのが至上命題だった。今回は、市場の安定性確保を最大の目標に掲げている」。東証が取り組んでいるのは、株式売買システム「arrowhead」の刷新。2015年9月24日の本番稼働に向けて、東証側が確認テストを進めている。
-
[17]愛媛銀行--勘定系ネット基盤にSDN導入
勘定系などを含む全システムのネットワーク基盤を刷新した。SDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)を全面導入。金融機関では初となる取り組みだ。ネットワーク運用業務を約30%効率化できるという。
-
[16]東京急行電鉄--公式サイトをCDNで盤石に
公式Webサイトへアクセスが集中したときに安定運用するのが困難になった東京急行電鉄。解決策として、コンテンツ配信技術「CDN」を導入。東日本大震災で平時40倍の負荷にも耐えた。
-
[15]三菱倉庫--49億円かけた全面刷新で案件増
ネット通販拡大や配送速度向上など大きな変化に直面する物流ビジネス。それを支える倉庫事業では、システムの役割が急速に重みを増している。三菱倉庫は49億円をかけて新システムを開発し、国内外の全倉庫に展開する。
-
[14]三井住友海上火災保険--Watsonを自動音声応答に生かす
三井住友海上火災保険がコールセンター改革に挑んでいる。最適なオペレーター配置を自動実行するクラウドサービスを使い、電話の応答率を85%から平均9ポイント向上させたうえ、900万円のコスト削減にも成功した。日本IBMのWatsonを活用し、顧客の声の分析も進めている。
-
[13]西日本旅客鉄道--6600両の車両検査システム改修
北陸新幹線の延伸開業に合わせ、車両検査システムを改修。約10億円の費用をかけた、JR東日本のシステムと連携する困難な作業だ。だが、大きなトラブルもなく、作業は計画通り2014年11月末に完了した。それを可能にしたのは、システム開発時に築いた強固な体制だった。
-
[12]キリン--脱XPでPC1万4000台を仮想化
仮想デスクトップによるシンクライアント環境を全面導入した。PC約1万4000台分を仮想化し、データセンターに収容。従業員による管理の手間を省き、業務に専念できるようにした。酒席が多い事情を踏まえ、PC紛失に伴う情報漏洩リスクを低減する狙いもある。
-
[11]イーオン--各校の生徒情報を統合、学習成果を可視化
英会話学校を展開するイーオンは、CRMソフトを核に社内システムを刷新している。学校ごとに分散していた情報を一元管理し、生徒を中心としたデータ活用を実現する。システムにまつわる職員の作業量を5分の1に減らすことを目指すほか、蓄積したデータを生かして生徒を支援するサービスを充実させる。
-
[10]名古屋銀行--ネット銀行刷新、2カ月で2万件の申し込み
個人向けのインターネット銀行サービスを刷新。勘定系システムをネット銀システムに取り込む形で、ネットとリアルを融合した。印鑑レスでネット口座を開設でき、既存支店口座でもネットを利用可能。開始2カ月で年間口座開設数の4割近い約2万件の申し込みを獲得した。