ここまで、スコア値算出のためのデータ分析の一連やスコア値の例をご紹介しました。最終回となる第5回は、リードを抽出した後のアクションについて解説します。どの場合も分析結果を余すところなく活用し、仮説に基づいた施策につなげていきます。

リード抽出後のアクションと、データ分析をともなわないスコアリング設計例

 第3回と4回では、スコア値算出のためのデータ分析の一連やスコア値の例をご紹介しましたが、ここからは抽出後のアクションについて触れておきたいと思います。スコアリング抽出後には以下のようなケースが考えられます。

  • 抽出したリード数とコールリソースにバランスが取れている場合は、コールリストとして活用する。
  • さらに数を絞り込みたい場合は、抽出したリードに対し、関連情報や関連キャンペーンへ誘導するメールを送付する。関連情報URLをクリックしたり、関連キャンペーンに申し込んだリードに対してコールする。

 コールする際は、アポイントが取得できなかった時のために、別の誘導先(関連資料送付、セミナー申込など)を用意しておくとよいでしょう。メールを送付してさらに絞りこむ必要がない場合でも、コールの優先順位をつけたり、会話のフックとして活用できる可能性がありますので、抽出後のメール配信は検討の余地があると思います。また、アクションを実施した結果をもとに、スコアを調整していきましょう。

 一般的なリードナーチャリング施策として、ユーザーの検討段階に応じたコンテンツへの誘導だけでなく、このようにデータ分析結果に基づいた誘導や、データを活用したタイミングのキャッチなどが不可欠です。分析結果を余すところなく活用し、仮説に基づいた施策の実施につなげていきましょう。

 とはいえ、初回は分析データが準備できないという場合は、ターゲットを明確にし仮説を立てて要件に反映させます。その一例をご紹介します。

■目的:過去接触のあるリードのうち、最近接触のあったリードを掘り起し対象として抽出する

■絞り込み要件
・初回接点が1年以上前
・資料請求、問い合わせなどの商談発生の可能性が高いインバウンドを除く
・最新の接点が1週間以内
・決裁者あるいはキーマン

■スコアリング設定例

リードのシステムデータ更新日、メールクリック、WEB閲覧履歴から“最近になって顧客接点が復活したリード”かつキーマンを抽出する設定を行う

項目条件ポイント
システム更新日360日以前の場合100pt
メールクリック日時7日以内の場合10pt
7日以上の場合-10pt
WEBアクセス日時7日以内かつ閲覧ページ>=2の場合10pt
7日以上の場合、-10pt付与-10pt
アンケート設問「導入決定に関する立場」「導入を決定、承認する立場」10pt
「導入に関与、検討する立場」10pt
「導入を要望、起案する立場」10pt

■掘り起こし対象スコア:スコア合計>=100ptかつスコア増減値>=10pt

スコアリング活用におけるデータの重要性

 ここまで、最初からある程度精度の高いスコアルールを設計するためのデータ分析を進めてきましたが、第1回でもお伝えした通り、キャンペーンごとの商談化・成約率の把握や、商談化あるいは成約したリードの属性や行動履歴の把握が必要です。そのためには、データの集約だけでなく、個人情報と紐づけた行動履歴情報の把握、リードのマージ、マーケティングデータと商談データの連携など、データ管理に取り組む必要があります。

 スコアリングに興味を持ったものの、それらのデータを把握していないという方は、ぜひ、自社のマーケティング成熟度において、スコアリングを実施するフェーズかどうかを確認してみていただければと思います。キャンペーンやコンテンツ自体が不足しているようであれば、業務設計や企画を進めましょう。また、データが管理できていない場合は、データ取得・管理体制や仕組みの構築が必要です。

 マーケティングオートメーションツールを軸とした業務設計やデータ取得・管理体制の構築を進めることで、いつ何をすべきかが見えてきます。ぜひこの機会に自社の課題を整理し、ツールを活用したマーケティング成果・投資最適化のロードマップ作成を検討されてみてはいかがでしょうか。

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