今回も前回に続き、ニューラルネットワークモデルによるスコア値の算出を解説します。複数の計算を実行することで、それぞれの影響因子から影響度が高いものを絞り込んでいきます。

(2-3)ニューラルネットワーク計算の実行

 商談化したリード(商談フラグ=1)を目的変数、セミナー申込回数、ホワイトペーパー申込回数、オンラインデモ申込回数、WEB閲覧履歴の合計などを従属変数として、ニューラルネットワークモデルを用いて影響度を計算します(ここでは、SASJMPという統計解析ツールを使用しました)。

 この例では、WEBの閲覧履歴の影響度が高くなっていることがわかります。

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(2-4)ニューラルネットワーク計算の実行2

 さらに、WEBの閲覧履歴のうち、各ページ単位の影響度値を計算するため、WEB閲覧履歴内における各ディレクトリ単位での比重を計算します。(2-3)と同様に、商談化したリードの数を目的変数とし、WEB閲覧履歴の各ページの閲覧履歴数を従属変数とします。

 下に示した計算結果を見ると、今回の例では利用シーンを掲載しているSolutionsや、事例コンテンツを掲載しているCaseの比重が高い結果がでています。

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(2-5)スコア値の計算

 次に、各履歴に対するスコア値の計算を行います。スコアの対象とすべき因子を、影響度に応じて決定します。さらに、ここでは、履歴の種類のうち、展示会、媒体広告はリード獲得のためのマーケティング施策の履歴であるため、除外します。また、パートナー申込も対象リードへの履歴ではないため、除外します。

 次に、WEBページ単位では、TOPページと、影響度0.01未満の閲覧履歴を除外します。

 除外結果で再度ニューラルネットワークモデルを実行します。

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 その結果、WEB閲覧履歴のFunctionページ、Solutionページや、セミナー来場、WEB問い合せ、資料請求が商談化に対して影響度が高いことがわかります。

 最終スコア値は、この影響度を×10倍などにより整数値化し、取扱いしやすいようにしておきます。

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(2-6)スコア値の検証

 算出したスコア値をリードとその履歴データに対して実際に割り当て、割り当てた結果、商談化フラグとそのリードに対する累積スコア値の相関をみてみます。この例では、想定スコア値と商談化リード数では正の相関が得られました。この例では傾きが低いため想定商談化率が10%程度となっていますが、スコア値の調整によって、商談化率の高いリード抽出が可能になります。ただし、その結果スコアに該当するリード件数が減少することが想定されますので、営業リソースや目標数値を踏まえて、商談化率の設定値を調整してください。

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 最後に、スコア値が確定したら、再度商談化フラグを目的変数としたディシジョンツリーで、累積スコア値の分岐点を決定します。今回の例では、累積スコア値が7以上か否かで第一分岐が表れているため、7以上のスコア値がついたリードを営業フォロー対象リードとしてよいでしょう。

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 以上のルールに加えて、ターゲットとする業種や企業規模が明確な場合は、リード属性情報に該当する値を加重する、キーマンを抽出したい場合は、アンケート項目において該当の立場を選択した場合に加重するなどの追加調整を行ってください。

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