ITpro読者のみなさん、はじめまして。新日鉄住金ソリューションズの横山です。本特集は、次世代Web標準である「HTML5」を使って業務システムを構築するために必要な情報や役立つ情報を解説します。HTML5を採用することで、業務システムがどのように見やすく、使いやすいものになるかを紹介すると共に、開発を効率的に進めるための道具や留意点などについてもみていきます。

身のまわりで着実に普及が進むHTML5

 最近、ニュースや雑誌で見聞きする機会が増えてきた「HTML5」という言葉ですが、実際に身のまわりでどれくらい利用されているのかよく分からないという人は多いのではないでしょうか。わざわざ「これはHTML5で作ったコンテンツです」と明記しているケースは少ないからです。

 HTML5が使われていることが明らかに分かる例としては、スマートフォンでアクセスした際に「ユーザーが今いる場所の最寄りの店舗を紹介してくれるWebサイト」があります。これは、HTML5が標準で用意している位置情報を取得するための「Geolocation API」というAPI(Application Programming Interface)を利用して実現しています。

 また、最近は同じURLでアクセスしているのに、PCでブラウジングする場合とスマートフォンなどからブラウジングする場合とで、レイアウトやフォントサイズなどを自動調整し、見やすくて操作しやすい表示にしているWebページが増えています。

 こうした仕組みを実現する方法はいくつかありますが、Webページの見た目やスタイルを定義する「スタイルシート」の最新規格である「CSS3(Cascading Style Sheets version 3)」を利用するのが一般的です。 CSS3はHTML5の関連技術であり、後述する「広義のHTML5」の範ちゅうで一緒に語られるケースが増えています。

業務システム適用を本気で検討すべき時期に来ている

 このように、徐々に私たちの生活の中に浸透しつつあるHTML5ですが、インターネット上に公開するWebサイトやサービスではなく、「社内で使う業務システム」をHTML5ベースで構築したり、構築し始めたりしている企業はまだ少ない状況です。少なくとも筆者が見聞きする範囲内では、いわゆる「アーリーアダプター」と呼ばれる一部の企業ユーザーを除けば、多くの企業ユーザーが「様子見をしている段階」だと言えるでしょう。

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