前回は、Windows UpdateおよびWindows Server Update Services(WSUS)が使用するネットワークの帯域幅制御について説明した。今回は、WSUSを使用したWindows 10の具体的な更新管理の方法について説明する。Windows 10の企業利用においては、ハードウエアやアプリケーションの動作確認取れるまで更新に踏み切らない(踏み切れない)ことがあるため、更新時期を調整するといった管理作業をマスターすることは非常に重要である。

Windows 10でさらに高まった、企業における更新管理の重要性

 本連載の第4回で説明したように、「Windows as a Service(サービスとしてのWindows)」というコンセプトに基づいて提供されるWindows 10は、「更新ブランチ(Update Branch)」に従って更新サービスが提供される。コンシューマー向けのWindows 10 Homeは、「Current Branch(CB)」で提供され、企業向けのWindows 10 ProおよびEnterpriseエディションは、CBおよび「Current Branch for Business(CBB)」を選択できる。

 CBとCBBには、異なるサイクルで「機能アップグレード」と呼ばれるWindows 10の新バージョン(新ビルド)がリリースされる。CBBを選択した場合には、CBに機能アップグレードがリリースされてからおおむね4か月後に機能アップグレードが遅れて提供される。そしてユーザーまたは管理者の制御により、さらに最大8カ月間アップグレードを延期することが可能だ。マイクロソフトは、同時に3つのバージョン(最新バージョンおよび過去2つのバージョン)に対して更新プログラムサポートを提供する。

 Windows 10は2015年7月のリリース後、2015年11月のバージョン1511(Windows 10 November Update)、2016年7月のバージョン1607(Windows 10 Anniversary Update)の2回の機能アップグレードが提供されてきた。Windows 10バージョン1511までは「機能アップグレード」と呼んでいたが、Windows 10バージョン1607からは「機能更新プログラム」と呼ぶようになった。一方、随時提供される緊急のセキュリティ更新プログラムや累積的な更新プログラム、定義の更新(Windows Defenderの定義ファイルなど)は、「品質更新プログラム」と呼ぶようになった。本連載では、これらの新しい用語を使うことにする。

 Windows 10 ProおよびEnterpriseエディションも、既定のまま利用する限りCBの対象となる。ただし、1年に複数回の機能更新プログラムがリリースされるCBは、企業用途では問題が多いだろう。機能更新プログラムのダウンロードとインストールが始まってしまうと、数時間(通常、再起動開始から2時間ほどかかる)コンピューターを利用できない状態になる。それが業務時間帯なら仕事にならない。ましてや、アップグレードの失敗やアップグレード後の問題発生で、さらなる時間と労力が必要になることがある。また、リリース直後のバージョンは不具合が多く、安定運用が望めなくなるリスクが高まる。

 こうした事情から、企業でWindows 10を利用するならCBBでの運用が不可欠だろう。2016年8月に、2回目の機能更新プログラムであるWindows 10バージョン1607がリリースされたことにより、CBBの運用を具体的に説明できるようになったので、WSUSによる運用例を紹介する。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。