Windows 10では、Windows Updateを通じて1年に複数回、機能アップグレードと呼ばれるWindows 10の新バージョンが提供されることになる。機能アップグレードのダウンロードサイズは数GBになるため、ネットワークの圧迫が業務に支障を来さぬよう配慮することが重要である。
今回は、Windows Updateを円滑に実行し、ネットワークを圧迫して業務に支障を来さないようにする方法を紹介しよう。
Windows 10では、Windows Updateを通じて1年に複数回、「機能アップグレード」と呼ばれるWindows 10の新バージョンが提供される。機能アップグレードに関しては本連載の第4回で説明しているが、少しおさらいしておく。
Windows 10は、「Windows as a Service(サービスとしてのWindows)」という提供形態を採用しており、更新に関しては通常の更新プログラムと機能アップグレードの2種類がある。通常の更新プログラムは、セキュリティ更新、不具合の修正、ドライバーの更新、Windows Defenderの定義の更新などを行う「品質更新プログラム」と呼ばれるものである。そして機能アップグレードとは、Windows 10の新しいバージョン(ビルド)である。
機能アップグレードは、配布・展開方法が簡素化されているものの、「Windows 7から8」といった従来のWindows における新バージョンへのアップグレードと同等である。Windows Updateを通じて行われる、事実上のOSアップグレードだと考えればよい。なお、Windows 10バージョン1607以降は機能アップグレードのことを「機能更新プログラム」と表現するようになったが、アップグレードであることに変わりはない。そのダウンロードサイズは数GB(ギガバイト)に及ぶため、ネットワークを圧迫し業務に支障を来さぬよう配慮することが重要である。
Windows 10のWindows Updateによるネットワークの圧迫の懸念
Windows 10の既定の設定では、Windows Updateによるダウンロードとインストールがバックグラウンドで自動的に実行される。ただし、この既定の設定は、コンシューマー(個人ユーザー)向けのものであり、企業にとってこの設定が適しているとは限らない。企業向けにはWindows Updateを制御するオプションがいくつか用意されており、企業の規模や環境に最適な方法を検討し、社内に展開することが求められる。
小規模な環境なら既定の設定で運用できるかもしないが、Windows Updateによる更新プログラムのダウンロードトラフィックが業務に与える影響を最小限にするために、事前に対策を講じておくことをお勧めする。前述の通り、ダウンロードサイズがかなり大きな機能アップグレードが年に複数回あるからだ(写真1)。
Windows Updateには、ネットワーク使用帯域を考慮しながらダウンロードする機能が搭載されていない。その結果、企業内のWindows 10クライアントが一斉に機能アップグレードのダウンロードを始めると、ネットワーク帯域幅を占有してしまい、Webブラウジングが極端に遅くなるなど、業務に影響を与える場合がある。
Windows 10の初期リリース(2015年7月)からすぐにWindows 10に移行し、既定の「Current Branch(CB)」で運用してきた場合は、2015年11月のWindows 10バージョン1511(Windows 10 November Update)、2016年8月のWindows 10バージョン1607(Windows 10 Anniversary Update)と2回の機能アップグレードを経験したことになる。このときに、業務に影響するようなネットワーク帯域の問題はなかっただろうか。
Windows 10の導入がWindows 10バージョン1607からの場合は、次の機能アップグレードに備えておくべきである。また、新バージョンへのアップグレードをある程度延期できる「Current Branch for Business(CBB)」では、まだ初期リリースのサポートが続いているが、次の機能アップグレード(コード名Redstone 2)までにはバージョン1511以降のバージョンにしなければならないので注意しよう(CBおよびCBBに関しては、連載第4回を参照)。