データ連携には、大きく三つの壁がある。日本通運、旭硝子、NTTドコモ、神奈川トヨタ自動車といった、ハイブリッドクラウドの先行ユーザーがどのように壁を乗り越えていったのか、見ていこう。専門家の意見を総合したデータ連携の設計方法も紹介する。

 データ連携の壁は大きく三つある。すなわち(1)遅延、(2)コントロールできない停止、(3)API仕様、だ(図1)。

図1●データ連携に立ちふさがる壁
図1●データ連携に立ちふさがる壁
IaaSの場合は壁(1)と(2)を、SaaS/PaaSの場合は壁(3)を解決しなければならない
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 (1)遅延とは、オンプレミス環境とクラウドの間のネットワークで生じる遅延だ。その原因は、WAN回線を介して接続すること。オンプレミス環境とパブリッククラウドの間でリアルタイムにデータ連携させる必要がある場合、遅延の影響を受けやすい。

 (2)コントロールできない停止とは、パブリッククラウドでメンテナンスによる停止や想定外の性能低下が起こることだ。停止や性能低下でデータ連携が失敗して、システム全体に影響を及ぼすような事態を回避するように設計する必要がある。

 (3)API仕様の壁は、SaaS/PaaSと連携する場合に特に問題になる。SaaS/PaaSに外部からデータを格納する、あるいはSaaS/PaaS内のデータを読み込むにはAPIを介する必要がある。APIはサービスごとに仕様が決められており、データやデータ操作の要求(クエリー)をサービスに合わせて変換する必要がある。

 以下ではハイブリッドクラウドのユーザーが実施した、壁を乗り越える取り組みを見ていこう。p.32 ~ 33の別掲記事「失敗しないデータ連携の設計方法」では、専門家の意見を総合したデータ連携の設計方法を解説する。

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