『このセミナーのゴールは何ですか?』
「え、受注…ですかね…」
『そうですね。最終的には受注が目的になりますが、セミナーでいきなり受注にはなりませんよね。』
「それじゃあ、見込み客を作ることでしょうか?」
『なるほど。それではどうなれば、見込み客をリストアップできた、ということになりますか?』
「そうですね…アンケートの“興味あり”にチェックを付けてもらうことでしょうか?」
『確かにそうですが、“興味あり”にチェックを付けた人って、どのくらい商談に発生していますか?』
「うーん、数字にしたことはないですが…大きな成果にはつながっていないような…」
『それでは“興味あり”にチェックだけでは、見込み客と呼ぶには弱い可能性がありますね。もっと直接的に、例えば…体験版への申し込みだとどうですか?』
「それなら、受注に近くなるかもしれませんね。体験版の申し込みを取ることでいきましょう。」
『なるほど。それではここからが本番です。ゴールに向けて受講者の心理を動かすことを前提に、セミナーを構成していきましょう。ここで質問です。体験版を申し込む受講者の心理とはどんなものでしょうか?』
筆者は何度となく、こうした会話をクライアント(セミナーの主催者)と交わしています。セミナーのゴールへの認識。そのゴールが受注につながる最適解であるかの確認。そして、そのゴールを前提としたセミナー設計――。これらが、受講者の心理を動かすセミナーマーケティングにとって重要なポイントになります。
うまくいっていないセミナーの場合、往々にして、このゴールへの認識が間違っています。“受注”のような最終的なゴールをイメージしてしまい、セミナーにおけるゴールを考えていません。
仮にセミナーのゴールを設定していても、そこにたどり着いた後で本当に商談が生まれるのかなど、会社としての最終的なゴールへのステップがつながっていないケースもよくあります。そうした前提をしっかりと考えられた段階で、セミナー概要の検討に入ります。
セミナーの概要設計とは何でしょうか。それはセミナーを通して受講者の心理を動かすための講座を設計することです。セミナーにおける講座とは、受講者の心理をゴールに向けて導くバトンです。どの様に講座を構成すれば、無理なく受講者の心理を動かすことができるのか。それを徹底的に考えていきます。
今回で本連載、「知って得する!顧客心理を動かすセミナーの作り方」は最終回となります。そこで、今回は少し具体的なケース事例を交えながら、受講者の心理を動かすセミナー構成を考えていきましょう。
どんな心理になっていればゴールに進むのか?
冒頭の事例から、体験版請求を最大化するセミナーの作り方を考えてみましょう。
まず考える必要があること。それは「体験版が欲しくて、思わず申し込みにサインをしてしまっている」といった、受講者が持っている心理要素を整理することです。