「あ!今、受講者の心が動いたな」――。セミナーをプロデュースしていると、そうした場面に出会うことがよくあります。

 それまでは背もたれに身を預けていた社長が、あるタイミングで前のめりになる、あるいはメモを取り始める。そんな変化の瞬間に立ち会うことがあります。

 しかし、こうした瞬間は偶然に作り出せるものではありません。セミナーの企画段階から、そうした行動を起こす、心理的な変化を前提とした設計を考えておく必要があります。

 これまで本連載では、顧客の心理を動かすセミナーマーケティングについて話してきました。その中で顧客の心理を動かすという定義を、商談を生み出すこととしてきました。それでは、商談を生み出すとは、受講者にとってはどのような心理状態を指すのでしょうか?

商談を生み出す=購買動機が芽生える

 こうした図式が成り立ちます。

 筆者はセミナーの設計で、集客段階から終了までの一連の流れを、「購買動機の芽生え」を目的に設計していきます。そうした観点でセミナーの肝ともなる要素があります。それがテーマの設定です。

 セミナーのテーマ設定は、顧客の選別でも大きな役割を果たします。集客だけを目的にするとテーマは広くとる方がよいのですが、その代わりに来場者は本来対象としたい顧客像とのブレも大きくなります。一方でテーマを絞り過ぎると集客が難しくなり、下手をするとセミナーそのものの実施が中止に追い込まれる危険性もあります。つまりテーマ設定次第で、集客や商談発生率に大きな影響を及ぼすのです。

 そこで上手なセミナーテーマの設定のために、以下の観点を整理しました。

  1. 近未来、時流
  2. 業界動向
  3. 法改正などの時事ネタ
  4. 永続的な顧客の課題と解決策

 人が根源的に知りたい情報には四つあると言われています。それは「近未来」「真実」「対処法」「自分のこと」です。

 このうち、最後の「自分のこと」をセミナーのテーマとするには難しいのですが、「近未来」「真実」「対処法」はセミナーのテーマに使えます。例えばBtoBで今現在、受講者を集めやすい旬なテーマとして「マイナンバー」があります。これは3.法改正などの時事ネタに含まれますが、全事業所が対象となる法改正のため、BtoBで集客できるテーマとしては非常に魅力が高いものでしょう。

 また、IT業界では派遣法の改正の影響を大きく受ける可能性が指摘されています。その影響などをセミナーテーマに盛り込むことで、人材派遣業やIT関連企業の集客率を高められると期待できます。

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