最初は面白く聞いていたセミナーも、後半になって一気に興味を失ってしまった――。そんなことってありませんか?
これはセミナーとしては完全に失敗パターンですが、多くのセミナーがこれに似た“駄目なサイクル”に陥っています。例えば、豪華なゲストを客寄せとして招聘しているセミナーってありますよね。仮に講師のネームバリューで集客に成功したとしても、いざ自社の講座パートになると、途端に途中退席の顧客が増えて空席が目立つ結果に…。そんな悲惨な状況になっているセミナーを見たことはありませんか?
繰り返し伝えてきましたが、この連載では“商談発生型セミナー”の作り方を解説しています。つまり、セミナーというマーケティング手法を活用して、商談を発生させる。それができなければ意味が無いというスタンスに立ち、セミナーの組み立て方を話しています。
その意味では、後半になるほど興味を失われてしまうセミナーというのは、失敗セミナーですよね。最初は興味を引けているのに、後半に進むほど関心が失われるなら、絶対に商談なんて発生しません。それでは、どう改善すれば良いのでしょうか?
ここで前回の連載の一部を振り返ってみましょう。
顧客の心理を動かすための4つのポイントのうち、前半の2つについて解説しました。それは“共感”と“納得”というポイントでした。実は、講座の前半で受講者の関心を引けているセミナーというのは、私が定義している“共感”のゾーンをクリアしているケースがほとんどです。
共感とは、そのテーマや顧客の現状の課題に対する“あるある話”であると説明しました。これにより、目の前にいる講師は「業界や自分たちのことをよく知っている」という認知を受講者から獲得できます。セミナーでは相手との距離感を縮めることが大切です。そのために共感によって心をつかむわけです。
それでは、せっかくつかんだ受講者の心がどうして離れてしまうのでしょうか?専門家として認知してもらったにもかかわらず、受講者の興味が失われてしまう理由はどこにあるのでしょうか?実は、多くのセミナーが同じ失敗を繰り返し、つかみかけた顧客心理を手放してしまっています。
「それでは、先ほど挙げました課題について、一体どう解決していくのか。その一つひとつについて説明させていただきます」
こう言って、共感で掲げた“あるある話”を、自社の提案する商品・サービスを使ってどう解決するかを話し続ける例が少なくありません。しかし前回の連載でも触れたことですが、課題と解決策を交互に列挙し続けるセミナーというのは、その構成段階で失敗です。