BtoBマーケティングの推進に当たって多くの企業が直面する「組織の壁」をどう克服するのか――。BtoB セールス&マーケティングサミット 冬 in Tokyoのパネルディスカッション1には、モデレータのNexal代表取締役 上島千鶴氏とユーザー企業3社のパネリストが登壇。組織間の体制構築に奮闘したパネリストによる体験談から、望ましいマーケティング組織のあり方までを議論した。

<モデレータ>
Nexal 代表取締役 上島千鶴氏

<パネリスト>(本文発言順)
GEヘルスケアジャパン ライフサイエンス Global Digital/Web Marketing Leader 飯室淳史氏

キヤノンマーケティングジャパン コミュニケーション本部 デジタルマーケティングセンター センター所長 平林泰直氏

日本IBM マーケティング&コミュニケーション コミュニケーション&ブランドエクスペリエンス 本部長 山口有希子氏
パネルディスカッション1の全景。左から上島氏、飯室氏、平林氏、山口氏
パネルディスカッション1の全景。左から上島氏、飯室氏、平林氏、山口氏
(撮影:都築雅人)
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 まずモデレータの上島氏は、パネリストが所属する企業が抱えていた「マーケティングの課題」について質問した。

 飯室氏は、「2008年ころまでは営業とマーケティングの役割が不明確だった」と振り返った。営業部門の期待とマーケティング部門のなすべきことが一致しておらず、営業部門から見ればマーケティング部門は「何をしているかわからない」「汗水たらして回っている営業部門に比べ、売り上げに貢献していない」「のんきな話ばかりしていて頼りにならない」イメージだったという。

モデレータを務めたNexal代表取締役の上島千鶴氏
モデレータを務めたNexal代表取締役の上島千鶴氏
(撮影:都築雅人)
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 この発言を受け山口氏は、「営業部門とマーケティング部門の対立は永遠の課題だと思っている」と言う。マーケティング部門は大きな投資をしており、営業部門からは常に意見が出てくる、だからこそ可視化する必要があったというのだ。

 平林氏は、「BtoBのビジネスは、キヤノンではものづくりから始まる。“モノ”としての機能が顧客に広く受け入れられた時代は、問題はなかった」と言う。しかし現在は、モノとしてのコピー機を買いたいという顧客はほとんどおらず、ニーズがドキュメントのソリューションなど“コト”に変わっている。モノ中心のマーケティングでは、広告をいくら打っても顧客の心に響かなくなっており、“コトカット”での顧客視点に立ったマーケティングプロセスの見直しを求められるようになった。

 そうした課題を抱える中で、マーケティング部門の機能や役割、責任はどう定義すればよいのだろうか。

 IBMでは、「会社としてのブランドを作る、事業戦略に沿って新しい事業領域を開拓していく、既存市場でビジネスの深掘りに貢献する」という三つがマーケティングのミッションだと山口氏は語る。この三つをミッションにしている限り、マーケティング部門が各事業部と連携していくことが必須となる。国内企業に比べるとマーケティング部門のミッションが明確に定義されているため、その責任が重くなっていると山口氏は話した。

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