どうしたら新規営業が受注商談を生み出せる組織を作れるのか ――BtoB セールス&マーケティングサミット 冬 in TOKYOの2本目のセッションには、BtoB専門のマーケティングエージェンシーであるエムエム総研代表取締役CEOの萩原張広氏が登壇した。リクルートでの営業経験を持つ萩原氏は、営業との連携にフォーカスしたマーケティングメソッドについて語った。

エムエム総研 代表取締役CEO 萩原張広氏
エムエム総研 代表取締役CEO 萩原張広氏
(撮影:都築 雅人)
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 萩原氏がリクルートに在籍していた当時はまだ「BtoBマーケティング」という言葉自体が存在せず、「トップ営業マンはトップマーケター」と呼ばれていた時代だった。萩原氏は法人の新規営業を担当したときに、どういう会社から受注するかが大切と考え、「顧客資産の創造とブランディング」を図った。

 「BtoBは顧客と長い付き合いになるので、新規だけでなく今後どれだけ受注できるかがカギになる。顧客から信頼を得る活動をして、資産にできるのがトップ営業。伸びない営業は絶えず新規を追い求めている」と萩原氏は指摘した。

 だが萩原氏は日本の営業文化に徐々に疑問を持ち始めるようになる。飛び込み営業や量を増やすアポ取りはあまりにも非生産的ではないか、売ることばかりを考え買いたくない顧客にまで売り込んでいるのではないか、Win-Winの関係を構築するのにはほど遠いのではないか、というものだ。

 そうした思いを抱きながら、1998年に米国ニューヨークにアウトソーシングの視察に赴いたときに契機があった。「マンハッタンで営業担当者は飛び込み営業をしているのか」と現場をのぞいたところ、飛び込み営業の代わりに、米国で登場したばかりのMAツールを使って営業の分業化を図り高い生産性を挙げていたのだ。萩原氏は驚くと同時に、「日本の営業の現場もこうなればいいな、と漠然と思った」という。

 エムエム総研で萩原氏は、リクルート時代に培った法人営業コンサルティングの経験を活かし、営業生産性の向上や分業化、営業現場でのナーチャリングなどに注力していく。

 例えば「8割の営業は自分がいなければ顧客は発注しないというが、顧客側にとって営業は誰でもいいことも多い。たまにしか行かない顧客は社員ではなく外部のコンサルで十分ではと考えた」。こうした仮説を立て、反対を振り切ってこの体制を導入したところ、効果があがったという。

 「コアコンピテンシー以外の業務をアウトソーシングで請け負う“分業化”を図り、コールセンター事業を立ち上げたが、これも同じような気づきから作った。さらに営業がお客様を啓蒙して商談に結び付けるまでが難しいという状況を聞き、初回訪問で商談まで持っていけるシナリオを作り、コンサルティングしていった」(萩原氏)。

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