本連載では、“IT担当者”が担うべき仕事を基礎的な内容から分かりやすく解説していきます。少人数でIT機器・サービス全般を見ていたり、情報システム部門と他部門を兼務していたり、ITインフラを構築あるいは運用するノウハウを十分お持ちでない方の参考として、また、「自分は運用に必要な知識は一通り持っている」という方の“仕事内容のおさらい”として使っていただければと思います。

 前回はIoT(Internet of Things)の基本と、企業にとっての導入メリットをご紹介しました。今回は、中小企業はどのようにIoTに向き合っていくべきかをお話しします。

 IoTは現在、普及が始まった段階であり、用途や導入形態によってはかなり高いコストとスキルが要求されます。しかし自分たちは無関係だとは思わない方がよく、少なくとも今からキャッチアップしておいた方がよいでしょう。世の中を大きく変える可能性があり、ゆくゆく、“eコマースとコンビニによって商店街が減った”というのと同じようなことが起こると思います。

 IoTには「既存業務を改善する使い方」と「事業拡大や売り上げ増を図る使い方」があります。今から導入を考えるなら、まず事業拡大や売り上げ増を図る使い方を考えた方がよいかもしれません。さまざまな産業において、人が十分カバーできていない、または全くカバーできていない領域があり、そこに事業拡大や顧客満足度の向上を図る余地があるからです。

中小企業のIoT活用方法

 IoTというと、現在は製造業に関連する話題が多いと思います。しかし中小企業において、まずIoTが導入可能になるのは小売業ではないでしょうか。前回もお話ししましたが、来店客の多くはセンサーを搭載しているスマートフォンを持っていますので、アプリケーションを作って配ればIoTを活用した顧客とのつながりができあがります。データを分析するシステムもクラウドサービスを使えば、自前で持つよりも容易に実現できます。加えて、今後新しく出現してくるサービスとの連携にも大きな可能性があります。

 例えば、国内の利用者がすでに1千万人を超えたといわれる「ポケモンGO」。このポケモンGOには、「ポケストップ」という、ゲームを進めるうえで重要なアイテムを入手するスポットがマップ上に存在します。ポケストップの出現位置は、現実世界でのランドマーク・公園・人気の場所です。いまのところは企業向けのポケストップ申請の仕組みはありませんが、すでにマクドナルドは提携によりポケストップとして追加されており、TOHOシネマズもポケストップとして追加することで合意しています。ポケモンGOの影響力・動員力はすでに実証済みですから、今後、小売業などで気軽にポケストップの申請が可能になれば、自社アプリケーションと組み合わせることで、店舗における大きな集客手段の一つになると思います。

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