本連載では、“IT担当者”が担うべき仕事を基礎的な内容から分かりやすく解説していきます。少人数でIT機器・サービス全般を見ていたり、情報システム部門と他部門を兼務していたり、ITインフラを構築あるいは運用するノウハウを十分お持ちでない方の参考として、また、「自分は運用に必要な知識は一通り持っている」という方の“仕事内容のおさらい”として使っていただければと思います。

 今回は前回の続きとして、自社に適したクラウドサービスを選択する際のポイントをQ&A形式で整理していきます。

【Q】クラウドサービスをやめるとき、入力したデータは取り出せますか?

 前回、クラウドサービス契約時に手元のシステムからデータを移せるかどうかについてお話ししました。今度は逆に、クラウドサービスを解約することになったときにデータを取り出せるかどうかを考えてみましょう。

 クラウドサービスは、入力したデータを書き出す手段を提供するところが多いと思います。しかし、それをもって万事うまくいくとは言い切れません。同一のクラウドサービスを長期間使うと、入力し蓄積されたデータも膨大な量になります。データはネットワークを介して自社に送ることになるわけですが、大量だと相当手がかかる作業となるからです。

 有名なクラウドサービスのなかには、加入時に大量のデータを転送したいと管理画面からリクエストすると、セキュリティ対策が施された専用アプライアンス(この場合は専用ストレージ装置のようなもの)を送ってくれて、そこに大量データをコピーし返送すると、データセンター側でデータ転送を実施できるというようなところも存在します。手厚いサービスだと思いますが、解約するときは契約書に書いてある通り「アカウントを停止する際は、事前に保持する必要があるアプリとデータを必ずバックアップしてください。アカウントが停止した後にデータを取得することはできませんのでご注意ください」という対応になります。データを取り出すまでは、アカウントを停止できず、“やめるにやめられない”状態となります。

 ただクラウドサービスが全部、“入口は広いが出口は狭い”とは限りません。サービス提供事業者の業界内での立ち位置などによって変わってきます。

 サーバーソフトをオンプレミス環境用の製品とクラウドサービスの両方で提供している某有名メーカーは、クラウドに移行するのもオンプレミスに戻すのも容易であることをアピールポイントにしています。どちらを利用していても顧客ですし、一方通行ではないことをうたった方が特色を出せるからでしょう。

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