本連載では、“IT担当者”が担うべき仕事を基礎的な内容から分かりやすく解説していきます。少人数でIT機器・サービス全般を見ていたり、情報システム部門と他部門を兼務していたり、ITインフラを構築あるいは運用するノウハウを十分お持ちでない方の参考として、また、「自分は運用に必要な知識は一通り持っている」という方の“仕事内容のおさらい”として使っていただければと思います。

 本連載では前回まで3回にわたって、クラウドサービスの基礎をお話ししてきました。基礎を押さえたところで、クラウドサービスの導入を検討することにした方もいると思います。そこで今回と次回の2回にわたって、自社に適したクラウドサービスを選択するポイントを「よくある疑問」に答える形で整理していきましょう。

【Q】国産と海外産のクラウドで違いはありますか?

 クラウドサービスには、国内の事業者が提供するものと海外の事業者が提供するものがあります。両者の提供内容が同様だったとしても、実際に利用する段になると違いを感じることがよくあります。

 本連載では以前、米国のNIST(National Institute of Standards and Technology:国立標準技術研究所)という団体がパブリッククラウドを定義しているとお話ししました。その定義を基本形として考えると、日本国内の通信サービスを提供している事業者のクラウドサービスは、比較的NISTの定義に近いといえます。NISTの定義とは「セルフサービス」や「スケールアウト可能」といった要素が持ち込まれていることです。また、日本国内の、システムインテグレーターが提供するクラウドサービスは、パブリッククラウドサービスと従来のデータセンターサービスの中間といえる内容ではないでしょうか。それはNISTの定義をすべて満たしていないサービスも見受けられるからです。

 NIST定義のセルフサービスとは、ユーザーがWeb画面を操作して容易に加入できて、すぐにサービスを利用できることです。そしてスケールアウトできるサービスは、小規模に使い始めたユーザーがビジネスの成長に合わせて、自分でどんどんとCPUやストレージの利用量を増やしていけます。

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