本連載では、“IT担当者”が担うべき仕事を基礎的な内容から分かりやすく解説していきます。少人数でIT機器・サービス全般を見ていたり、情報システム部門と他部門を兼務していたり、ITインフラを構築あるいは運用するノウハウを十分お持ちでない方の参考として、また、「自分は運用に必要な知識は一通り持っている」という方の“仕事内容のおさらい”として使っていただければと思います。
最近は、クラウドから提供されるクラウドサービスを利用する企業が増えています。そこで今回からは、クラウドサービスの採用を検討するために必要な基礎知識を解説していきます。
クラウドサービスは大きく分けて「サービス提供モデル」と「配備モデル」の2通り
クラウドサービスとは、データセンターなどを活用して企業に情報やアプリケーション、サーバーやストレージといったシステムリソースを、インターネットを経由して提供するサービスです。利用企業は最低限のネットワーク接続環境を用意するだけで、最新のITサービスを利用できます。
「以前からあるASPやSaaSと何が違うの?」と感じた人がいるかもしれません。これは、クラウドサービスを分類して整理することによって理解することができます。ここでは、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)の分類をベースにお話ししましょう。
まず、クラウドサービスの分類は、何をサービスとして提供するかという「サービス提供モデル」と、どのようにシステムを稼働させるかという「配備モデル」の2通りの分類方法があります。順に見ていきましょう。