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無名のBIツール、旬のスタートアップがこぞって採用する理由

2017/10/02 中田 敦=シリコンバレー支局

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 日本では全くの無名だが、シリコンバレーでは米Lyftや米Squareなど旬のスタートアップがこぞって利用しているBI(Business Intelligence)ツールがある。米カリフォルニア州サンタクルーズに拠点を置くスタートアップの米Lookerが手掛ける製品だ。

 同社のBIツール「Looker」は、配車サービスのLyft、決済サービスのSquareや米Venmo、クラウドファンディングサービスの米Kickstarterや米Indiegogo、オンラインメディアの米Buzzfeedなど、著名スタートアップを中心に、既に800社が採用しているという。また2017年3月までに、累計1億7750万ドルもの巨額資金を調達している。

 ベンダーとして勢いがあるLookerだが、日本には拠点が無く、日本語対応もしていないため、日本ではほぼ無名の存在だ。しかし近い時期に、日本市場に進出する可能性もある。2017年3月には三菱商事や駐日米国大使を務めた経験のあるジョン・ルース氏が設立した投資ファンドであるGeodesic Capitalが、Lookerに出資しているためだ。Geodesic Capitalはシリコンバレーのスタートアップによる日本市場進出をサポートしていることで知られる。

 日本では謎の存在であるLookerが、なぜシリコンバレーのスタートアップから支持されているのか。他のBIツールとはどう異なるのか。

クラウドの高性能DB/DWHサービスを前提に設計

 2017年9月13、14日には米サンフランシスコで年次カンファレンス「JOIN 2017」を開催し、スタートアップのデータサイエンティストを中心に800人もの参加者を集めた(写真1)。CEO(最高経営責任者)のFrank Bien氏による基調講演やユーザー企業の講演、LookerのChief Data EvangelistであるDaniel Mintz氏に行ったインタビューなどに基づき、Lookerの謎をひも解いていこう。

写真1●LookerのCEO(最高経営責任者)、Frank Bien氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Lookerは、エンドユーザー(企業の利用部門)がWebベースのGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)から利用できる「セルフサービス型」のBIツールである。

 かつてのBIツールというと、「SQL」や「MDX」といったクエリー言語に精通していなければ使いこなすのが難しかったが、最近は高度なUIを備え、エンドユーザーがドラッグ&ドロップ操作だけでデータ分析を実行できるセルフサービス型のBIツールが増えている。米Tableau Softwareの「Tableau」や米Qlikの「QlikView」などの人気が高い。

 Lookerが他のセルフサービス型BIツールと最も大きく異なるのは、Lookerがデータ分析を実行する際に、分析用データをDB(データベース)やDWH(データウェアハウス)から「取り込まない」という点にある。言い方を変えれば、データのETL(抽出、加工、転送)が必要ないということだ。

 最近のBIツールの多くは、分析用データをDBやDWHからサーバー上のメモリーへと取り込み、データをインメモリー処理することで、アドホック(逐次)クエリーを高速に実行している。それに対してLookerは、分析用のクエリーをDBやDWHに対して発行するだけで、データの分析処理そのものはDBやDWH上でのみ実行する。Lookerが備える可視化ツールは、DBやDWHで実行した処理の結果を表示しているだけだ。

 Lookerがあえてインメモリー処理を採用しないのは何故か。「現在は、Googleの『BigQuery』や米Amazon Web Servicesの『Amazon Redshift』といった、高速で拡張性が高く、しかも安価に利用できるクラウドのDB/DWHサービスが存在する。Lookerはそうしたクラウドのサービスを使用することを前提にしている」。LookerのChief Data EvangelistであるDaniel Mintz氏はこう説明する。

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出典:ITpro 2017年9月21日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

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