「自分自身は営業を経験していたので、営業と同じ目線でお客様のことを常に考えています。私たちは営業のサポート的な役割ですが、デジタル接点では私たちがお客様とコミュニケーションを取って売り上げに貢献しようとしています」――。堀場エステックの営業推進部営業推進チームの志知文(しち・あや)チームリーダーはこう語る。

 堀場エステックは堀場製作所の100%子会社で、半導体製造装置に組み込まれる、気体や液体など流体の質量流量を制御する機器(マスフローコントローラー)を主力商品とする。さらにターゲットとなる商材を絞った上で、半導体関連以外の事業領域の拡大も進めている。

 同社は2017年4月から6月まで、マルケトのマーケティングオートメーション(MA)を使い、ターゲット商材の新製品などのマーケティング施策を展開。営業に渡したリードからのアポイント獲得率と商談化率を大きく伸ばした。新製品の営業責任者からは、「この仕組みで効率的に商談を進められた」と評価を得ている。

堀場エステックの営業推進部営業推進チームの志知文(しち・あや)チームリーダー
堀場エステックの営業推進部営業推進チームの志知文(しち・あや)チームリーダー
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渡したリストをフォローしてもらえない「もやもや感」

 販売促進を担当していた志知氏は、2014年ころ製品市場の拡大のため、いくつかの展示会に出展し、来場者の名刺を集めて営業部門に渡していた。ただ当時は「集めたリストを営業に渡しても、フォローしてもらえないもやもや感を持っていました」と振り返る。

 外部の勉強会に参加して、他社のMA導入事例を聞くなど情報を集めた結果、これまでは購入機運が育つ以前の状況でリストを営業に渡していたことが分かってきた。「お客様の大半は情報収集のため展示会に来ているのだとすると、売り上げにつなげられるステージが必要になると考えました」(志知氏)。

 2015年に堀場製作所グループはMarketoを導入した。志知氏はMarketoを使って、メールを送ることなどを実験した上で、営業本部内でMAを使った顧客育成を提案する。

 提案を聞いた上司が営業本部内で社員を募ったところ、ほかに3人が手を挙げたという。MAを担当する組織は、当初は4人でバーチャルな組織としてスタートした(現在は営業推進チーム5人とテーマごとに変わる営業数人で構成)。

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