「リード情報というと、顧客の名刺情報のことだと勘違いしているケースが多い」。こう語るのは、2015年5月22日にITpro Activeが開催した「IT/電機業界・商材向け BtoBマーケター養成講座」で、講師を務めたNexal代表取締役の上島千鶴氏だ。「シナリオ設計の基礎編」に続く、「シナリオ設計の応用編」の冒頭での発言だ。

 応用編では、基礎編で学んだマーケティングプロセスの基本を発展させ、実際のコミュニケーションシナリオへの適用の方法論を学ぶ。ターゲットとする顧客が案件化するまでに、「リード情報」として何が必要か。その勘違いから上島氏は説明を始めた。

「属性情報」だけでは情報不足

「IT/電機業界・商材向け BtoBマーケター養成講座」で講師を務めたNexal代表取締役の上島千鶴氏
「IT/電機業界・商材向け BtoBマーケター養成講座」で講師を務めたNexal代表取締役の上島千鶴氏
(撮影:後藤 究)

 リードの情報として、すぐに思い浮かぶのが自分たちの商材のターゲットになるかどうかを判断する「属性情報」だろう。売上高や従業員数、業種、拠点などの企業特性と、所属や役職といった人的属性が含まれる。ただし、これらのいわゆる名刺情報さえあれば、リードの情報が事足りると思ってはいけない。

 上島氏はもう一つ大切な情報があるという。それが、購入のタイミングなどを知らせる顧客の現在の「状態情報」だ。Webサイトの訪問傾向や、資料のダウンロード状況、イベントなどの登録・参加といった行動特性と、予算化時期、検討時期、問題意識などの判断材料が求められる。

 「営業が欲しいのは、今すぐ行くべき顧客か判断できる状態情報。そうした情報をどこでどのように得るのかが思案のしどころ。日本企業では電話で聞いてしまうことが多いが、関係性の薄い、よく知らない会社から電話がかかってきても正直には答えてくれない。そこで、Webサイトなどのコンテンツを用意して、その利用状況などから状態情報を読み解くのがノウハウ」(上島氏)という。

 リードの情報は、属性情報と状態情報に加え、さらに入手方法として「明示的に分かる情報」と「暗示的に分かる情報」の2種類に分かれると上島氏は説明する。名刺情報や問い合わせ、展示会アンケートなどから得られる「明示的」な項目に対して、「暗示的」な項目は間接的に読み解くしかない。

 「属性情報」と「状態情報」の軸と、「明示的」と「暗示的」の軸でマトリックスを作ることで、案件確度を算出するためのリードの情報として自社で必要な情報が整理でき、情報の過不足や情報の収集の仕方を検討できるというわけだ。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。