マルケトは2017年5月19日、大阪・梅田で「大阪ユーザー会」を開催した。「関西に本社を置く製造業でマーケティングオートメーション(MA)の採用が進んでいる」――。マルケト大阪オフィスでシニアビジネスコンサルタントとして企業の導入サポートなどを担当するの丸井達郎氏はこう話す。
関西地区には、マルケト日本法人が営業を開始した2014年よりも前からマルケトを導入している企業がおり、公開しているユーザーにはパナソニックや堀場製作所、村田製作所、ローム、ヤンマーといった企業が名を連ねている。
マルケトが大阪オフィスを設置したのは2015年春。それから2年を経て、同社が導入を支援する企業にも「2年目、3年目のところが増えてきた」(丸井氏)。
MAを導入して1年目は、顧客の育成ステージに合わせてシナリオを構築して、具体的に試してみるのが一般的だ。そして2期目、3期目を迎えた企業は「結果を出したが課題にも直面している」(丸井氏)という。
現場でBtoB企業と具体的なやり取りをしている丸井氏によると、ユーザー企業の変化として見えているのは、
- セールスとのアライアンス
- データのマネジメント
- 成功モデルの社内展開
導入サポートの現場で聞く、マーケティング部門の進化
まず丸井氏が実感しているのは、マーケティング部門と営業部門との関係の変化である。「マーケティング部門は単にMQL(Marketing Qualified Lead)を渡して終わりではなく、営業部門とアライアンスを結び、売り上げにつなげようとしている」(丸井氏)。スコアリングの精度を上げて営業にリードを渡すタイミングを調整するといったところから、一歩先に踏み出し営業に近づき始めている。
丸井氏は関西地区のある担当者から、営業部門との関係改善の道のりを聞いたという。導入1年目はマーケティング部門主導で作ったMQLを営業部門に渡したが、なかなか受け入れてもらえなかったため、2年目以降は社内勉強会を開くなど営業部門への歩み寄りを重ねたという。
ようやく営業の態度が変わったのは、「有望なリードがいるから渡しますから後は何とかしてくださいではなく、一緒にお客さんを育てて営業さんに寄り添って、売り上げまで併走する」という姿勢を打ち出した後だったという。この企業では、営業部門とマーケティングで定例ミーティングを開き、活発なディスカションを展開しているという。
二つめに、データのマネジメントの必然性も高まっている。現場で本格的なスコアリングを進めていくうちに、企業ではデータベースをリッチに精緻にしたいというニーズが増えていく。「取り組みを進める企業からABM(アカウントベースドマーケティング)について相談が多い」(丸井氏)。
特定のアカウントに絞ってマーケティング活動を展開するというABMの考え方を、デジタルマーケティングが広まる前から実践している企業は少なくない。それでも最近のABMはデジタルデータの活用により、まだ取り引きがないけれどもポテンシャルが見込めるターゲットを絞り込みシナリオを動かしていくかたちになっている。