「顧客が求めているのは、製品やサービス、ソリューションではない。その先にある成功体験である。これからは顧客に『成果』を売る時代が来る」――。
2017年2月21日から22日まで、東京・有明の東京コンファレンスセンター・有明で開催された「ガートナー カスタマー360 サミット」で、元GEヘルスケア・ライフサイエンス グローバル本社 チーフデジタルマーケティングエバンジェリスト・グローバルリーダーの飯室淳史氏は、製品やサービスを売る従来のビジネスの課題を指摘。「これからはお客様に成果を売れ!」と題した基調講演で、成果を売るビジネスへの転換の必要性を解説した。
顧客の課題解決ではなく、顧客が真のゴールへ到達する道を探す
「成果を売る」とは何を意味するのか。飯室氏はその答えを、「自社製品やサービスを使って、顧客が結果を出すまで付き合うこと」と示した。飯室氏によれば、従来の営業は製品やサービス、ソリューションを「売るまで」に力を注ぎ、「顧客が成果を出せるまでを担保していなかった」(飯室氏)という。
「顧客が成果を出せるまでを担保する」取り組みを実践するには、顧客が目指している真のゴールを知らなくてはできないだろう。しかし飯室氏は、「顧客の真のゴールを知ることは容易ではない」とくぎを刺す。
顧客のニーズを集めたという営業スタッフでさえも、「山積している目の前の課題を羅列されただけだった」というのがよくあるパターンだという。飯室氏は「個々の課題をモグラたたきのように潰していっても、顧客は次の課題を提示するだけで、感謝はされない」と、一般的な課題解決型アプローチで陥りやすい「穴」を指摘した。
飯室氏の経験では、課題解決型アプローチのように「どうやって」から議論を始めても、真のゴールに到達する提案には結びつかないという。顧客の課題を解決しようと議論を始めると「どうやって解決するか」で白熱してしまい、真のゴールから遠ざかることも珍しくないからだ。
飯室氏は「How(どうする?)の前に、What(何を)を考えなくてはいけない。しかしHowもWhatもゴールではない。それより先にWhy(目的)を理解する必要がある」と解決に至るまでのアプローチに順番があることを指摘した。「Why(目的)を達成するという目標が定まって初めて、何をどうすればいいのかという話が組み立てられる」(飯室氏)と説明した。