前回(第15回)では、プライベートDMPを活用したOnetoOneマーケティングの実現についてご紹介した。今回は、プライベートDMPを契機に、マーケティング活動全体がデータドリブンになる未来像についてご紹介する。

マーケティング活動全体がデータ中心に

 これまでの連載では、プライベートDMPを活用した広告配信やOnetoOneマーケティングについてご紹介した。しかし、これらは主にマーケティングの4PにおけるPlace/Promotion領域の一部を示しているにすぎず、マーケティング活動全体を俯瞰したものになっていない。

 一般にマーケティング活動全体は、

1.各種調査・分析(特に顧客に関する調査・分析)
2.マーケティング戦略立案・決定
3.マーケティングプログラム(4P)の立案・実施
4.効果測定(マーケティングROI)

で示されることが多い。ではプライベートDMPによって、これらの領域がどのように進化するのだろうか?

1.各種調査・分析(特に顧客に関する調査・分析)

 プライベートDMPが顧客の属性・行動を網羅的に把握できる基盤であることは、自社で調査モニターを抱えていることと同義語である。しかも従来の属性寄りの静的セグメントを超え、「過去1カ月以内にファッション系サイト内のネット広告から自社ECサイトに流入し、商品Aを購入した東京在住の20代女性」といった動的セグメントへのグループインタビュー/WEBアンケートなどを行うことも技術的には可能となり、スクリーニングの精度が上がる。

 また自社でオンラインコミュニティを立ち上げ、商品・サービスの改善アイデアなどを募集し、その反応・コメントデータをプライベートDMPに集約すれば、商品開発のインプットになる。加えて改善アイデアを出したユーザーを分析することで、自社商品に愛着を持ち、参画意欲の高いロイヤルティ顧客の特定も可能となり、ターゲットを定める上でのインプットにもなる。

2.マーケティング戦略立案・決定

 例えば商品Aのマーケティング戦略において、ターゲット・提供価値・4Pの方向性・予算配分を定める際、従来であれば一般的なグループインタビュー/アンケートを参考に、最終的には担当者(もしくは決裁権のある責任者)の勘と経験を加え、決めてかからざるをえなかった。

 しかしながら、プライベートDMPの活用が成熟し、商品Aに関する様々なセグメントへの様々な施策の効果測定結果が蓄積されると、それに基づく予測モデルによって、複数の戦略選択肢に対する売上・ROIの比較検討・意思決定が可能となる。

 このことは、プライベートDMPが予測モデルと連携することで、勘と経験が先行しがちな意思決定から、データドリブンによる確率を重視した意思決定にウェイトが高まることを意味する。

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