本誌が実施した「企業ネット/ICT利用実態調査 2015」では、WANサービスの利用ベンダーに再び順位変動が起こった。L2/L3混合型サービスでNTTコミュニケーションズが初めて首位を獲得した。一方、IP-VPNと広域イーサネットはいずれも、利用企業をしっかりと増やしたソフトバンクが首位に立ち、2部門を制覇した。

調査概要
[調査名]日経コミュニケーション 企業ネット/ICT利活用実態調査
[調査対象]公知のリスト(会社四季報)に含まれる上場企業(対象市場は東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、ジャスダック、マザーズで、ここから3200社を抽出)に勤務する情報システム/通信・ネットワーク担当者
[調査方法]アンケート票を郵送し、郵送とWebサイトで回答を受け付け
調査概要
[調査期間]2015年7月14日〜8月10日
[回収状況]有効回収521社(うち郵送回収353件、Webサイト回収168件)、有効回収率16.3%
[回答企業の業種内訳]建設業8.6%、製造業42.4%、卸売業・小売業19.0%、運輸・物流業4.6%、情報・通信業5.0%、サービス業11.7%、金融業2.3%、その他5.8%、分からない/無回答0.6%
[回答企業の2015年度の売上高]100億円未満27.1%、100億〜500億円未満39.7%、500億〜1000億円未満11.7%、1000億円以上20.3%、売り上げなし0.0%、無回答1.2%
[回答企業の2015年度末の従業員数]99人以下9.8%、100〜299人23.4%、300〜999人39.0%、1000人以上27.4%、無回答0.4%
[調査の実施]日経BPコンサルティング
[集計]RJCリサーチ

 本誌は毎年、上場企業など約3200社を対象とする「企業ネット/ICT利用実態調査」で、WANサービスの利用状況を調べている。主要な通信事業者のサービスについて、ユーザー企業がどのサービスを利用しているかを回答してもらう方式である。

 事業者によっては「販売政策」も駆使して、レイヤー2/レイヤー3(L2/L3)混合型サービスへの移行をユーザー企業に促している場合もあり、2014年、2015年と利用率で見た順位が大きく変動している。2015年の調査結果から、WANサービスの種別ごとに利用されている通信事業者のサービスを紹介する。

L2/L3混合型はNTTコムが首位

 新たな主力となるL2/L3混合型サービスの利用率は、「Wide Area Virtual Switch(WVS)」で先行したKDDIを、「Arcstar Universal One」を提供するNTTコミュニケーションズ(NTTコム)が猛追する構図が続いている。ソフトバンクは「SmartVPN」で追っているが、シェア拡大のペースは鈍い。

 2014年は辛くもKDDIのWVSがL2/L3混合型の利用率でNTTコムのUniversal Oneをかわしたが、最新の2015年の結果はUniversal Oneがついに首位に立った。しかもUniversal Oneの利用率が18.0%、WVSが11.1%と予想外の差が付いた(図1)。

図1●L2/L3混合型サービス全体とサービス別の利用率
図1●L2/L3混合型サービス全体とサービス別の利用率
NTTコミュニケーションズの「Arcstar Universal One」が利用率でKDDIの「WVS」を大きく上回った。
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 L2/L3混合型サービスの販売は、新規の顧客獲得よりも、自社の他の回線サービスを使っている既存ユーザーをL2/L3混合型に乗り換えてもらう営業施策によるところも大きい。NTTコムはこうした自社で抱えているユーザーもうまくUniversal Oneに誘導して、L2/L3混合型のシェアを伸ばしていると見られる。他社から効率的に顧客を奪っている面もありそうだ。

 3位のソフトバンクは上位2社と異なり、L2/L3混合型のSmartVPNを提供しながら、IP-VPNや広域イーサネットも併売していく方針を打ち出している。意図して、L2/L3混合型に巻き取る販売政策は取っていないという。

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