ビジネスとITが一体化した現在、アプリケーションのパフォーマンス低下は、顧客離れや生産性低下につながり、企業に大きな損失をもたらす。こうした中、ユーザーの体感レスポンスやシステムのボトルネックを把握できる「アプリケーションパフォーマンス管理」(APM)が注目を集めている。

 そこでITpro Activeでは、アプリケーションパフォーマンス管理をテーマに、製品選択を支援するセミナー「アプリケーションパフォーマンス管理~攻めの運用でビジネスに貢献する~」を、2015年01月30日に東京で開催した。

 製品を紹介するベンダー講演は、タクトシステムズ/マクニカネットワークス、リバーベッドテクノロジー、CA Technologiesの全3セッションで構成。基調講演では、アイ・ティ・アールがUX(ユーザー体験)に代表されるAPMの動向を、特別講演ではビッグツリーキャピタルがアプリケーション性能を改善する技術面でのポイントを解説した。

基調講演:アイ・ティ・アール
スマートデバイス普及でUX(ユーザー体験)の性能が需要に

 基調講演では、IT分野専門のリサーチ&コンサルティング企業であるアイ・ティ・アール(ITR)の甲元宏明氏が登壇した。ITの役割がビジネス貢献へとシフトしている中で、スマートデバイスの操作性やレスポンスを向上させるために、アプリケーション性能を高めることが大切であると説いた。

アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト 甲元 宏明 氏
アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト 甲元 宏明 氏

 甲元氏は冒頭、ユーザー企業におけるIT部門のミッションが段階を経て変化していることに触れた。2000年までは、システムの構築と運用がIT部門の仕事だったが、2000年から2005年までは経営戦略と同期することが、2005年から2010年まではビジネスに直接的に貢献することが求められた。そして2010年以降は、ITを活用したIT部門ならではの新規事業の提案を求められるようになっている。

 甲元氏はさらに、ITのビジネス貢献という動向を表しているデータとして、ユーザー企業のIT投資の現状を、市場調査の結果を踏まえて紹介した。日本企業のIT戦略の理想は、「売上拡大への直接的な貢献」が1位、「業務コストの削減」が2位、「顧客サービスの質的な向上」が3位となっており、4位で初めて従来型のテーマである「ITコストの削減」がランクインするという結果になった。

 デバイス/テクノロジー分野の投資意欲を調査したグラフも見せた。投資額の増加が最も見込める分野はスマートデバイス(タブレットおよびスマートフォン)であり、SDN(ソフトウエアデファインドネットワーク)や無線LAN、クラウドなども投資意欲が拡大している傾向にある。

 「ビジネス貢献のためのIT」という視点において重要なキーワードは4つあるという。つまり、(1)スマートデバイスによる新しいユーザー体験(UX)、(2)ビジネス貢献のためのIT基盤、(3)ユーザーの要求に対して迅速に対応可能なクラウド技術、(4)アプリケーション性能への影響が大きいネットワーク技術、---である。スマートデバイスが普及した時代には、特にUXが重要になる。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。

この記事に関連する資料