富士通の「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」は、人工知能(AI)に関する研究開発を通じて得た技術やノウハウを結集し、体系化したものである。Zinraiを各種の業種・業務に適用するための提案型サービス17種をメニュー化した。ユーザー企業の課題をカテゴリ化し、解決に向けたAIの活用例と、Zinraiの技術・製品・サービスを組み合わせて提案する。
富士通がZinraiと、Zinraiを用いた提案型SIサービスを提供するに至った背景には、ユーザー企業の多くが、まだAIの活用イメージを具現化できていない状況がある。同社には、「AIで何が実現できるのか」「自社の課題はAIで解決できるのか」「AIを適用するコストと時間はどれだけかかるのか」といった声が多く寄せられているという。
Zinraiを使った提案型SIサービスの1つが、ディープラーニングによる製造品の異常検知である。製造業の生産ラインを流れる製造品の異常を検知する作業を、標準化・効率化する。画像認識技術を活用し、正常品の画像を学習させ、欠陥品を自動的に検知する。価格の目安は、導入前検証が200万円からで、本番環境への導入は個別見積もり。
提案型サービスの2つめは、研究開発で用いる関連文書を、まとめて検索するという用途である。関連する技術情報を含んだ大量の文書の中から、漏れなく、効率的に検索できるようにする。専門分野別の意味検索APIを活用し、大量かつ様々な文書群を自動で整理する。価格の目安は、初期費用が1000万円から。
Zinraiを活用した17種の提案型SIサービス
活用領域 | 活用シーン | Zinraiの技術 | |
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ナレッジ活用 | 窓口業務における 疑問点の検索 | 専門知識を平易な言葉で検索 調査時間の短縮や労力を削減 | 専門分野別意味検索 |
ナレッジ活用 | 研究/開発における 関連文書検索 | 関連文書をまとめて検索 必要な情報の抜け、漏れを防止 | 専門分野別意味検索 |
ナレッジ活用 | 営業活動での 顧客情報検索 | 企業や地域の情報を自動で整理 顧客理解のための時間を短縮 | 企業情報検索 |
コールセンター・問い合わせ窓口 | オペレーター支援 | AIでコールセンターのオペレータを支援 | FAQ検索 |
コールセンター・問い合わせ窓口 | オペレーター教育 | Zinraiが顧客満足度を可視化 応対品質の改善を支援 | 感情認識 |
コールセンター・問い合わせ窓口 | 顧客接点の高度化 | AIを活用して自動応答支援や接客型サポートによる顧客接点の高度化を実現 | チャットボット 機械学習 |
コールセンター・問い合わせ窓口 | 顧客の声(VOC)の自動分類 | 顧客の声(VOC)を1件1件自動で仕分け 作業時間の削減や分析精度の向上 | 自然文解析 |
コールセンター・問い合わせ窓口 | 電話窓口の 音声ガイダンス作成 | Zinraiが音声ガイダンスを吹き込み ガイダンス変更も迅速に対応可能 | 音声合成 |
職場・暮らし | 保育所での 入所選考の効率化 | 申請希望の最適な割り振りを支援 作業時間の短縮と申請者の満足度を最大化 | マッチング |
職場・暮らし | 潜在する要望・嗜好にあう提案の支援 | AIが利用者の嗜好まで予測したマッチングを実現 | マッチング |
社会インフラ | 監視業務の負荷軽減、最適化 | AI技術を活用したスマート都市監視 | 画像認識 ディープラーニング |
社会インフラ | 専門家による 目視検査支援 | 社会インフラの検査支援 専門知識が必要な画像検査の自動化 | 画像認識 ディープラーニング |
保守・保全 | 設備異常の予兆検知 | 光ファイバを活用した温度測定と設備異常予兆検知 | 予兆検知、アノマリ分析 |
保守・保全 | 作業者の 安全管理支援 | 遠隔で作業者を見守り、安全な職場づくりをサポート | 熱ストレス推定アルゴリズム 機械学習 |
ものづくり | 製造品の異常検知 | ディープラーニングによる製造品の異常検知 | 画像認識 ディープラーニング |
デジタルマーケティング | 字幕作成の支援 | プレゼンやスピーチの文字起こし テキスト作成時間を削減 | 音声テキスト化 |
デジタルマーケティング | 動画・録音データの 有効活用 | ディープラーニングを使用した、ノイズ除去による音声認識率向上 | ディープラーニング |
Human Centric AI Zinraiの概要
用途と機能 | 人工知能(AI)に関する研究開発の結果である技術やノウハウを結集し、体系化したもの |
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提供形態 | Zinraiを各種の業種・業務に適用するための提案型サービス17種をメニュー化している |
Zinraiの背景 | ユーザー企業はまだ、AIIの活用イメージを具現化できていない。「AIで何が実現できるのか」「自社の課題はAIで解決できるのか」「AIを適用するコストと時間はどれだけかかるのか」などが明確になっていない |
SIサービスの例 | ディープラーニングによる製造品の異常検知、研究開発で用いる関連文書の検索、など |
価格(税別) | ディープラーニングによる製造品の異常検知の場合、価格の目安は、導入前検証が200万円からで、本番環境への導入は個別見積もり |
発表日 | 2017年11月16日(17種の提案型サービスメニュー) |
提供開始日 | 2017年11月16日(17種の提案型サービスメニュー) |