米Remotiumの「Remotium Ver2.1」は、データセンター側で動作させた仮想マシン型のAndroid端末をシンクライアント(手元にあるiOS/Android端末)からリモートで操作できるようにするソフトである。Android OS向けのVDI(デスクトップ仮想化)基盤ソフトに相当する。これを使うと、仕事用のAndroid OS領域を、私物端末から安全に利用できるようになる。

Remotium新版では、マイク/スピーカーによる通話機能とユーザー情報を透かし表示する機能が新たに加わった(出典:日立ソリューションズ)
Remotium新版では、マイク/スピーカーによる通話機能とユーザー情報を透かし表示する機能が新たに加わった(出典:日立ソリューションズ)
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 Remotiumの仕組みは、一般的なWindows OS向けのVDI製品と同等である。VMware ESXiなどのサーバー仮想化ソフトの上でRemotiumサーバーが動作し、Remotiumサーバーの上で仮想マシン型のAndroid端末がユーザーごとに個別に立ち上がって動作する。画面を操作する際には、Windows向けのVDI(キーボード操作とマウス操作)と異なり、タッチパネル操作を伝達する。

 現行版では、手元のシンクライアント端末のマイク/スピーカーをRemotiumの仮想Android端末から利用できるようになった。これにより、仮想Android端末の上で内線通話などのアプリケーションを動作させれば、実際のマイク/スピーカーを介して通話ができるようになった。現行版ではまた、アプリケーション画面上にユーザー名を透かし表示する機能を付けた。画面撮影などによる情報漏えいの抑止になるとしている。

 Android OSを仮想デスクトップ型で使うことのメリットは、仕事用のOS領域と私物端末のOS領域を明確に分離できること。これによって、BYOD(私物端末の業務利用)を許可しながら、仕事用のAndroid OSを安全に利用できるようになる。また、データセンター側のAndroid OSだけを管理すればよいため、仕事用に端末を配布したりリモートで管理したりする必要がなくなる。

 仮想マシン(仕事用のAndroid端末)へのアプリケーションのインストールは、システム管理者が一元的に実施する。ユーザーをグループ分けして、所属グループごとに利用可能なソフトを使い分けられる。また、私物端末の位置情報を利用することで、会社から離れた場合にアプリケーションの使用範囲を制限する、といった運用もできる。

Remotium Ver2.1の概要
用途と機能Android OSをリモート操作するためのVDI(デスクトップ仮想化)ミドルウエア
主なメリット仕事用のOS領域と私物端末のOS領域を明確に分離できるので、BYOD(私物端末の業務利用)を実現できるようになる
現行版の新機能■シンクライアント端末(手元のAndroid/iOS端末)のマイク/スピーカーを使って仮想Androidの通話アプリケーションを利用する機能
■仮想Androidのアプリケーション画面上にユーザー情報を透かし表示する機能(機密情報の撮影などを抑止する効果がある)
提供形態ソフトウエア。データセンター側でAndroid仮想マシンを動作させるサーバーソフトと、シンクライアント側で動作するクライアントソフトで構成する
動作環境■remotiumクライアント:Android 4.0.2以降またはiOS 6以降(シンクライアントとなる私物端末にremotiumクライアントをインストールする)
■remotiumサーバー:VMware ESXiまたはQEMU-KVM上で動作する仮想アプライアンスの形態で提供する
価格(税別)50ユーザーで年額96万円から
発表日2015年6月29日
出荷日2015年7月21日
備考発表日/出荷日と価格は販売代理店の1社である日立ソリューションズの場合