インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJ GIOコンポーネントサービス データベースアドオン インメモリプラットフォーム for SAP HANA」は、独SAPのインメモリー型データベース「SAP HANA」を搭載した物理データベースサーバー機を月額制で利用できるようにしたクラウドサービスである。主に、SAP ERPのシステム構築/移行を手がけるSIベンダーがユーザー企業に再販する。
SAP HANAの物理データベースサーバー機を、月額制のクラウドサービスとして利用できるようにした。SAP HANAのソフトウエアのライセンスは別途必要になるが、同サービスを利用すると、HANA専用のデータベースサーバー機をユーザー企業が購入する必要がなくなる。これにより、IIJのクラウドサービスとして、ERPソフトとERP向けのデータベースサーバーの両方を用意できるようになった。
IIJは元々、SAPのERPソフト「SAP Business Suite」などの基幹システムに向けて、サーバー仮想化ソフト「VMware vSphere ESXi」を自由に操作できる仮想化環境のクラウドサービス「IIJ GIOコンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ」を用意している。ところが、VWシリーズのERP環境からデータベースサーバーとしてSAP HANAを使いたい場合、これまではユーザー企業がSAP HANA用のデータベースサーバー機を購入して用意するしかなかった。
SAP HANAのデータベースサーバーをクラウド型で利用できるようにしたサービスには、IIJが発表したサービス以外に、大きく二つある。一つは、SAPジャパンがERPソフトや保守サービス込みで提供する「SAP HANA Enterprise Cloud」(HEC)。もう一つは、クラウドサービス事業者の米Amazon Web Services(AWS)が提供する「SAP HANA One」。AWSと比較したIIJのサービスの利点をIIJでは、「最大2Tバイトの大容量メモリーを使えることと、パブリッククラウドではなくオンプレミス環境に近い環境を用意できること」と説明する。
IIJのサービスで契約できるデータベースサーバーのラインアップは4種類で、以下の通り。最上位の「D1200LS-M002T-HN(TypeA)」は、CPUコアが60コア、メモリーが2Tバイト、ストレージはデータ用が600Gバイト×25基(RAID 50構成)。最下位の「D600LS-M256G-HN(TypeD)」は、CPUコアが30コア、メモリーが246Gバイト、ストレージはデータ用が600Gバイト×8基(RAID 5構成)。いずれもOSはSUSE Linux Enterprise for SAP 11で、データベースソフトとしてSAP HANA Platform Edition 1.0が載る。
用途と機能 | 独SAPのインメモリー型データベース「SAP HANA」を搭載した物理データベースサーバー機を月額制で利用できるようにしたクラウドサービス | |||
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ラインアップ | D1200LS-M002T-HN(TypeA) | D1200LS-M001T-HN(TypeB) | D600LS-M512G-HN(TypeC) | D600LS-M256G-HN(TypeD) |
OS | SUSE Linux Enterprise for SAP 11 | |||
データベースソフト | SAP HANA Platform Edition 1.0 | |||
コア数 | 60コア | 30コア | ||
メモリー容量 | 2Tバイト | 1Tバイト | 512Gバイト | 256Gバイト |
データ格納ディスク | 600Gバイト×25台(RAID50) | 600Gバイト×8台(RAID5) | ||
価格(税別) | 最小構成のD600LS-M256G-HN(TypeD)の場合に、初期費用が55万4000円、月額費用が27万7000円。最低利用期間は12カ月 | |||
オプションサービス | (1)SAP HANAサーバーの初期構築サービス (2)既存データベースからSAP HANAへのデータベース移行サービス (3)SAP HANAサーバーの運用監視サービス | |||
発表日 | 2015年3月25日 | |||
提供開始日 | 2015年4月1日 |