ウインドリバーの「Wind River Titanium Control」は、工場などの産業現場に使うことを想定した仮想化基盤ソフトである。機械を自動制御するPLC(プログラマブルロジックコントローラ)や、システムを監視してプロセス制御を行うSCADA(監視制御システム)といった産業制御システムを仮想サーバー上で動作させるためのクラウド基盤を提供する。

Wind River Titanium Controlのソフトウエア構成
Wind River Titanium Controlのソフトウエア構成
(出所:ウインドリバー)
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 オープンソースのプライベートクラウド運用基盤をベースに開発している。仮想サーバーを動作させるコンピューティングノードはLinuxとKVMがベース。データを格納するストレージノードは分散オブジェクトストレージソフトのCephを使う。クラウドのオーケストレーション機能はOpenStackをベースに開発した。

 最大の特徴は、産業分野の要件に合わせて性能と可用性に注力したことである。性能は、機械制御が要求する短時間での反応を実現するため、割り込み処理に対するレイテンシー(遅延)を低くした。仮想サーバー同士が通信する仮想スイッチも高速化した。

 可用性は、「何年間も連続運用ができるようにした」(ウインドリバー)としている。稼働率はシックスナイン(99.9999%)を実現しており、年間で約30秒しかダウンしない、としている。

 Titanium Controlの背景には2つの側面がある。1つは、多くの産業において施設が寿命を迎えており、プラットフォームの切り替え需要があること。もう1つは、工場内で生成する大量のIoTデータを加工して使いこなす需要が高まっていること。

Wind River Titanium Controlの概要
用途と機能産業分野向けの仮想化基盤ソフト。PLCやSCADAといった産業制御システムを仮想サーバー上で動作させるためのクラウド基盤を提供する。産業現場で発生するIoTデータを産業現場で活用するエッジコンピューテングにも向く
ソフトウエアの構成要素■仮想サーバーを動作させるコンピューティングノードはLinuxとKVMがベース
■データを格納するストレージノードは分散オブジェクトストレージソフトのCeph
■クラウドのオーケストレーション機能はOpenStackがベース
特徴産業分野の要件に合わせて性能と可用性に注力したこと
性能は、割り込み処理に対するレイテンシーを低くしたほか仮想スイッチを高速化
可用性は、何年間も連続運用ができるように稼働率99.9999%をうたう
価格非公開。ライセンスベースの標準価格のほかに、事前にユーザーと合意した成果を達成した場合にユーザーと利益を分け合うバリューベースの価格設定を選択できる
発表日2017年3月24日
出荷日2016年下期前半