時雨堂の「Anzu」は、Webブラウザーが動作する1台のパソコンから最大で600人の視聴者に対して同時に映像や音声を配信できるようにするクラウドサービスである。Webブラウザー同士の通信規格であるWebRTC(Web Real-Time Communication)を使いつつ、AnzuがWebブラウザー同士の通信を仲介することによって、配信者の回線や端末に負荷をかけずに多数の視聴者にコンテンツを配信できるようにする。
要素技術のWebRTCは、HTML5規格に含まれる映像/音声通信の標準規格である。WebRTCに対応したWebブラウザー同士であれば、プラグインを追加することなく、直接ピア・ツー・ピアで映像/音声のやり取りができる。時雨堂のAnzuは、サーバーを介してWebRTC通信を行う規格であるWebRTC SFU(Selective Forwarding Unit)に準拠する。
WebRTC SFUは、本来であればWebブラウザー同士が直接やり取りするWebRTCによる通信を、サーバー経由で行う技術の1つ。配信者が送信する映像や音声を、代わりにWebRTC SFUのサーバーが視聴者に配信する。配信者自身の回線や端末に高い負荷がかかることなく、一度に多くの視聴者へ映像や音声を配信することができる。
時雨堂は、WebRTC SFUのサーバーソフトとして「Sora」を開発した。これに対してAnzuは、ソフトウエアのSoraをクラウド型サービスとして月額制で提供するものである。Anzuは、配信時間や配信チャネル数、同時視聴者数などに応じて3つの契約プランを用意している。
Anzuの概要
用途と機能 | Webブラウザーが動作する1台のパソコンから同時に多数の視聴者に対して映像/音声を配信できるようにするクラウドサービス | ||
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要素技術 | WebRTC(HTML5規格の1つで、Webブラウザー同士が直接ピア・ツー・ピアで映像/音声をやり取りする仕組み) WebRTC SFU(Webブラウザー同士のWebRTC通信を仲介するサーバー機能の規格。配信側のシステム負荷を軽減できるので、同時に多数の視聴者に映像/音声を配信できる) | ||
契約プラン | スタンダード | プラス | エンタープライズ |
配信チャネル数 | 2 | 3 | 制限なし |
同時視聴者数 | 10 | 50 | 600 |
配信時間 | 500分/月 | 1万分/月 | 制限なし |
価格(税別) | 月額500円 | 月額5000円 | 要問い合わせ |
発表日 | 2015年12月16日 | ||
提供開始日 | 2015年12月16日 | 2016年2月15日 |