マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)が2015年10月に施行し、2016年1月に運用開始となる。今回は、マイナンバー制度への対応状況を読者モニターに尋ねた。

 6月時点の調査では、「対応済み」が0%だった。「施行までに対応予定」が23.1%、「運用開始までに対応予定」が47.3%といった状況である。具体的な作業(複数回答)は、「人事・給与システムの改修」が115件と最も多く、全体の8割強を占めた。以下、「社員への教育・研修」(69件)、「不正防止に向けたセキュリティの強化」(52件)、「会計・経理システムの改修」(44件)、「マイナンバー管理システムの導入」(42件)と続く。

Q1. マイナンバー制度への対応は済みましたか?
Q1. マイナンバー制度への対応は済みましたか?
Q2. 対応作業として何を実施(予定を含む)しましたか?
Q2. 対応作業として何を実施(予定を含む)しましたか?
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 対応費用は約半数が「分からない」と回答したものの、「200万円未満」が22.7%、「1000万円以上」が10.6%、「200万円以上、400万円未満」が9.2%といった分布である。このうち、最も費用がかかる分野は、「人事・給与システムの改修」が36.2%、「不正防止に向けたセキュリティの強化」が10.6%、「マイナンバー管理システムの導入」が7.8%といった順位になっている。

 マイナンバー制度への理解度を聞くと、「よく理解している」は7.0%だけだった。「ある程度は理解している」という回答が64.5%で最も多く、自由記入欄では「マイナンバー制度=あらゆる個人情報の一括管理」と誤解している意見が多かった。マイナンバーの厳重な管理が求められるのは当然だが、個人情報は分散管理なので漏洩しても直ちに悪用できるわけではない。「ガイドラインは曖昧な説明で分かりにくい」といった意見も目立つ。

 施行と運用開始が直前に迫っているにもかかわらず、政府による啓蒙活動がまだまだ足りない印象を受けた。

回答者のコメントから
 マイナンバー制度については、十分な説明がされているとは思えない。マイナンバーの活用で効率的な事務処理を実現できれば、公務員の削減も可能になるのではないか。むしろ、マイナンバーの適用範囲を拡大しなくてはならないと考える。同時にセキュリティをどう守るかについても、はっきりと説明する必要があるだろう。
●調査概要
調査対象:「日経コミュニケーション」読者モニター
調査方法:日経BPコンサルティングのインターネット調査システムで実施
調査日程:2015年6月17~25日
回答企業数(回収率):418社中186社(44.5%)