今回は、2015年の重大ニュースを読者モニターに尋ねた。編集部で選んだ55のニュースのうち、1位から5位までを選んでもらい、上位から順に5~1ポイントずつ傾斜配分した合計値を算出して総合順位を決めた。
1位は「日本年金機構が標的型攻撃を受け、約125万件の個人情報を流出と公表」(397ポイント)だった。標的型攻撃を最初に受けたのは5月初旬だったが、不適切な対応により被害が拡大。さらに基幹システム(社会保険オンラインシステム)から抽出した個人情報をファイル共有サーバーに格納するというずさんな運用まで発覚した。年金関連のセンシティブな情報の流出に加え、マイナンバー制度導入直前のタイミングだったため、注目度が高かった。
2014年の重大ニュースで1位だった「ベネッセホールディングスの子会社における個人情報流出事件」と同様、多くの企業がセキュリティ対策の再点検や見直しを迫られた。自由意見欄には「流出事故が起こってはいけない公的機関にもかかわらず、運用ルールが守られていなかったり、標的型攻撃に対する認識が甘かったりと、自社の対策状況を見直さずにはいられない事件だった」(卸売・小売業)といった声が寄せられた。
2位は「米マイクロソフトがWindows 10の提供を開始」(337ポイント)。今後はソフト更新で新機能を追加していく方針のため、実質的に最後のリリースとなるほか、当初1年間は無償でアップグレードできるようにした点が話題を呼んだ。自由意見では、「これまでの殿様商売からユーザーに寄り沿ったビジネスに転換した」や「最終的にはマイクロソフトの独り勝ちになるのではないか」などと評価する声が目立った。
3位は「新たに発売される端末を対象にSIMロック解除の義務化を開始」(246ポイント)。最近では端末の割賦契約が主流のため、SIMロック解除の動きが広がるのはしばらく先となりそうだが、「格安SIM」を展開するMVNO(仮想移動体通信事業者)には追い風となる。義務化自体は2014年12月に決まったことで目新しさはないものの、今後の影響に注目して投票した読者が多いようだ。