「SaaS」というIT用語は、既に多くの方がご存じのように、アプリケーションをサービスとして利用するクラウドの一種である。SaaSと聞くとすぐに思い浮かぶのは会計管理、グループウエア、セキュリティ関連などだろう。これらはいずれも、パッケージとして販売されていた業務ソフトがクラウド化したものといえる。

 だが、昨今ではこうした流れとは少し異なるSaaSも登場してきている。今回はこうした新しいSaaS(ここでは「業務支援クラウド」と呼ぶ)について解説する。

「業務支援クラウド」とは?

 冒頭でも触れたように、SaaSには大きく分けて2つの流れがある。1つは以前から業務パッケージとして販売されていたものがクラウド化したものだ。この場合は、同じ開発元がパッケージとクラウドを提供しているケースが比較的多い。代表的な例を以下に示す。

提供企業パッケージ版クラウド版
ピー・シー・エーPCA XシリーズPCAクラウド
サイボウズサイボウズ Officeサイボウズ Office on cybozu.com
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 もう1つは仕訳処理、交通費精算、名刺管理など「部分的な業務」をサービス化したものだ。これらの多くは元からパッケージとして提供されていたわけではなく、最初からクラウドの形態をとっている。

 また、単体でも利用可能だが、パッケージ/クラウドを問わず他の業務システムと連携させて使われることも多い。こうしたSaaSは、1つめの流れのSaaSとは導入経緯も利用目的もおのずと異なってくる。そこで、ノークリサーチではこれを「業務支援クラウド」と呼んで区別している。

 交通費精算のように業務の一部を担うシステムは、実は以前から存在していた。ユーザー企業によっては、ホスティングを利用して現在のクラウドに近い形態で利用するケースもあった。

 昨今では、IaaSやハウジングによりサーバー環境が手軽に構築できるようになり、アイデア次第で様々なサービスを展開できる土壌が整った。その結果としてさまざまな「業務支援クラウド」が登場することになったわけだ。その意味で「業務支援クラウド」は古くて新しいサービス形態ともいえる。

 「業務支援クラウド」は非常に多岐に渡っている。ここでは代表的なものを以下に示す。

代表的な「業務支援クラウド」の例
適用業務機能の概要サービス名(提供企業名)
会計処理の簡便化サービス手作業やMicrosoft Excelで行っていた仕訳処理などの作業負担を軽減するfreee(freee)、MFクラウド会計(マネーフォワード)
オンラインマニュアル発行/管理サービス業務マニュアルをデジタル化し、スマートデバイスなどで最新版を共有するTeachme Biz(スタディスト)
クレジットカード決済サービスタブレットとクラウドを用いて手軽にクレジットカード決済システムを構築するSquare(Square)
交通費精算サービスICカードや乗り換えサービスとの連携による効率的な交通費精算を行うkincone(ソウルウェア)
社員のモチベーション向上業務状況を元に社員の心理状態を可視化し、カウンセラーがチェックするYeLL(エール)、Willysm(キーポート・ソリューションズ)
人材データベース社員情報を顔写真と共に管理し、閲覧/検索可能にするkaonavi(カオナビ)
名刺管理サービス個々の社員が所持する顧客の名刺を集約し、顧客情報を共有するSmartVisca(サンブリッジ)、Sansan(Sansan)
労務手続き簡略化サービス社会保険や雇用保険などの労務手続きをオンラインで手軽に行うSmartHR(KUFU)

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