ERPは中堅・中小企業(※)においても最も主要な業務システムの1つである。ここで言うERPとは「会計、販売、購買、生産といった複数の基幹系システムを統合的に管理/運用するアプリケーション」を指す。経済環境やビジネス環境の変化に即応するためには、互いに連携し統合された基幹系システムが求められる。このことは大企業に限らず、中堅・中小企業においても同じである。そこで、今回は中堅・中小企業のERP導入/活用における新たな1つの可能性について考察していくことにする。
「製品選定の権限が自社にない」ケースも存在
以下のグラフはERPを導入済みの年商5億円以上500億円未満の中堅・中小企業に対し、「導入済みのERP製品/サービス」を尋ねた結果である。ERPの製品/サービス名は極めて多岐に渡るため、回答件数が比較的多かったものだけをピックアップし、それ以外は「その他の製品/サービス」に含めている。
ERPの製品/サービスには、年商規模に応じ様々なものがある。年商5億円以上10億円未満の企業で比較的シェアが高い「奉行 V ERP/新 ERP」は、中小企業向けERPの代表格だ。一方、中堅企業の中でも比較的高い年商帯(年商300億円以上500億円未満)においては大企業と同じく「SAP ERP/SAP Business All‐in‐one」のシェアが高くなっていることが分かる。
このように、多くのERP製品/サービスには得意とする年商規模がある。だが、ここで留意いただきたいのは、年商5億円以上10億円未満の企業層でも、「SAP ERP/SAP Business All‐in‐one」のような製品が少なからず導入されているという点だ。
この理由を知るヒントとなるのが以下のグラフだ。先に挙げた「奉行 V ERP/新 ERP」と「SAP ERP/SAP Business All‐in‐one」の導入企業に対し、「導入経緯」を尋ねたものだ。