今後、ユーザー企業は業務システムを社内と社外のどちらに配置すべきだろうか?

 サーバーをクラウド形態で利用するサービス(IaaSやホスティング)における主要ベンダー間の価格競争が激しくなっている。アマゾンデータサービスジャパン、日本マイクロソフト、日本アイ・ビー・エム、グーグルといったグローバル企業は競ってサービス価格を改定し続けており、ユーザー企業にとってはクラウド形態でのサーバー活用の敷居が下がりつつある状況と言える。

 そこで今回は、IaaS/ホスティング活用についてユーザー企業が留意しておくべき点は何か、ということについて、調査データを交えながら考えていく。なお、本稿で「クラウド」と記載した場合にはIaaS/ホスティングを用いてサーバー環境を構築/運用するケースを指し、SaaSやPaaSは含まない。

今やクラウドはサーバー環境を実現する主要な選択肢に

 従来、「サーバー」という言葉はユーザー企業が購入する物理的なハードウエアを指していた。現在でも、ハードウエアを社内に設置するという意味での狭義の「サーバー」と、サービスを利用する「クラウド」を対立軸として捉える見方もある。

 だが、「サーバー」は業務システムを構築/運用する基盤を表す語として用いられることもある。クラウドがシステム構築/運用における選択肢の1つとなった今、ユーザー企業としても「サーバー」を「クラウド」の対立概念と捉えるのではなく、サーバーもクラウドも共に業務システムを構築/運用するための基盤と捉え直すことが大切だ。

 そこで、本稿でも「サーバー」といった場合は広義の意味ということにしたい。つまり、「サーバー」環境を実現する具体的な手段として、ハードウエア購入やクラウドといった選択肢が存在することになる。

 以下のグラフは年商500億円未満の企業に対し、「今後1年以内に新規導入または刷新/更新する最も重要な(広義の)サーバーの購入先/契約先」について尋ねた結果である。購入先/契約先としたのは、メーカーもクラウド事業者も共に選択肢となるからである。つまり、新たにサーバーを導入しようとする中堅・中小企業が、メーカーとクラウド事業者のどちらを選ぼうとしているかを示すデータということになる。

図●新規導入または刷新/更新するサーバーの調達先(メーカーまたはクラウド事業者)(年商500億円未満、n=221)
図●新規導入または刷新/更新するサーバーの調達先(メーカーまたはクラウド事業者)(年商500億円未満、n=221)
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 サーバーメーカーの具体例としては、NEC(Express5800)、富士通(PRIMERGY)、日本ヒューレット・パッカード(ProLiant)、デル(PowerEdge)などが挙げられる(カッコ内は代表的なサーバー機のブランド名)。

 一方、クラウド事業者の具体例としてはアマゾンデータサービスジャパン(Amazon EC2)、日本アイ・ビー・エム(SoftLayer)、NTTコミュニケーションズ(Bizホスティング)などが挙げられる。(カッコ内は代表的なクラウドのブランド名)。

 上記のグラフが示すように、今後1年以内に新規導入または刷新/更新されるサーバーではメーカーとクラウド事業者の割合が概ね半々になっている。つまり、クラウドは既に、広義の「サーバー」の主要な選択肢の1つとなっていることが確認できる。

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