8月8日に公開した前編では、残存XP問題への対策にあたって、現状維持の考え方を打破することが必要、と述べた。とは言え、長年使い続けたWindows XP上の業務システムを刷新することは当然、容易ではない。場合によってはセキュリティ面の安全を確保した上で既存の業務システムを使い続けるといった、「延命策」を講じる必要もあるかも知れない。その際、企業の多くはどのような手段を選んでいるのだろうか?後編ではこの点を考えてみることにする。
XP環境の“延命策”には正しくないものもある
ノークリサーチは、中堅・中小企業を年商(IT投資額との相関が最も強い企業属性である)に応じて以下のように分類している。
中堅Hクラス | 年商300億円以上~500億円未満 |
---|---|
中堅Mクラス | 年商100億円以上~300億円未満 |
中堅Lクラス | 年商50億円以上~100億円未満 |
中小企業クラス | 年商5億円以上~50億円未満 |
小規模企業クラス | 年商5億円未満 |
以下のグラフは中堅Lクラスの企業に対し、「Windows XPのサポート終了対策として、既に実施済みまたは実施予定の取り組み」を尋ねた結果である。
最も多く挙げられているのは「新しいWindowsを搭載したPCを購入し、すべてのアプリケーションやデータを入れ替える」という手段だ。先に述べたように、業務システムの保守/サポートまでを考えれば、最も理想的な「正攻法」といえる。だが、こうした全面的な刷新が難しい場合には、その後に続く「延命策」を講じることになる。比較的多く挙げられているものは以下の3つだ。
<延命策1>
新しいWindowsを搭載したPCを購入してデータを移行し、「アプリケーション仮想化」を用いて既存アプリケーション環境を保持する
<延命策2>
新しいWindowsを搭載したPCを購入してデータを移行し、「互換モード」を用いて既存アプリケーション環境を保持する
<延命策3>
Windows7搭載PCを購入し、「XPモード」を利用してWindows XP環境を保持する(後述するが、この施策は本質的には延命策にはならない)
上記のそれぞれについて順に解説していこう。まずは「延命策1」から見てみよう。
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